親は「わかるよ」と言ってやれる余裕がない

お風呂へ誘い込むのはうまくいっているけど、お風呂上がりのおむつはなかなかさせてくれないので、夕べは、ソファにしっかり水たまりを作ってしまった。

我が家は大人が4人いて手が足りているので、ここで叫ばないで済むけど、ワンオペだったら、きっと「何なのぉ〜」って叫んでるだろうなぁ。「イヤ」も「ちげぇ〜よ〜」もかわいいなんて言っていられないに違いない。

親たちがイヤイヤ期を楽しむ余裕は、どれだけ手が足りているかと、イヤイヤ期を「誰でも通る当然の道」としておおらかに笑い飛ばしてくれる祖父母がいること。

2歳児のイヤイヤには、そう全部「わかるよ」とも言っていられない。特に日常生活を回している親には。

祖父母が「地球実験」をやらせてほしい

黒川伊保子『孫のトリセツ』(扶桑社新書)

でもね、親がいたずらだと決めつけて叱る「地球実験」を、たまには、祖父母はやらせてほしい。この星に降り立って、わずか2年。彼らは、この星がどういう星か確かめるために、実験を重ねているのである。すべての実験が叱責で封じられてしまったら、脳が好奇心に駆られて走り出すより、あきらめるほうが簡単だと思ってしまう可能性がある。

昨夜、孫は、フォローアップ・ミルクの瓶に手を突っ込んで、ミルクの粉をがしがしと握った。私は、彼にウィンクをして、「たしかにそれ、やってみたくなるよね」と言ったら、満面の笑顔を浮かべたあと、恍惚となりながら手触りを楽しんでいた。

ミルクは無駄になっちゃったけど、彼の脳に、感性情報を一つ送り込めたなぁとしみじみする私。けれど、その後、そのミルクを布団の上にばらまきそうになったときは、手を握って「ダメーっ」って叫んだけどね。こっちにだって、さすがに限界はある。

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