マッサージやストレッチをしているのに、疲れがとれないのはなぜか。『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑セルフケア編』(KADOKAWA)を出したストレッチトレーナーのきまたりょうさんは、セルフケアをする前に身体の仕組みを知っていなければ、結果には雲泥の差が出てしまう。『筋膜』を意識するだけで効果は増していく」という――。
セルフケアをする前に知っておきたい「身体の仕組み」
現在はインターネットで検索するだけで、色々なストレッチ法や筋膜リリース法など、セルフケアに対する情報が無数にでてきます。どれもやり方がわかりやすく説明されていて素晴らしいものばかりです。
しかし、同じセルフケアをするにしても「身体の仕組みを把握して行なっている人」と「なんとなく真似をしている人」では効果に雲泥の差があります。
不調に対してしっかり改善していくためには、「セルフケア以前」の身体に対する知識がたいへん重要なのです。
実際に私がストレッチトレーナーとしてお客様に指導する中でも、ストレッチのやり方をただお伝えするより、資料を見せながら「ここの筋肉どうしがつながっているから、こういう風にやってみてください」と「筋肉のつながり」について、説明を加えたほうがストレッチの効果が増すのを多々経験しています。
ここで言う「筋肉のつながり」とは、「筋膜」のことです。
筋膜とは、簡単に説明すると筋肉を包む膜のことで、この筋膜が筋肉同士をつなぎ合わせて全身の姿勢を保ったり、動作をサポートしています。筋膜には身体の位置などを把握するためのセンサーが多く含まれていて、筋膜が固まってしまうことで、「姿勢や動作のコントロール」に影響します。
図表1をご覧ください。筋膜は身体全体に巡っており、左のイラストのように正常な状態ではバランスが保たれています。しかし、右のイラストのように筋膜の一部が引っ張られると、その影響が全身に及びます。痛みや硬さがある部位をほぐしても改善しない場合、全身のバランスを見て整えることが大切なのです。