猫背やスマホ首を改善するにはどうしたらいいのか。ストレッチトレーナーのきまたりょうさんは、「つらい箇所だけをアプローチしてもダメ。身体の背面側に痛みがあるのなら前面側も疲れが溜まっている。前面と背面のバランスを整えることが重要」という――。

※本稿は、きまたりょう『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑セルフケア編』(KADOKAWA)の一部を再編集、一部を書きおろししたものです。

スマートフォンを見ながら首の痛みを感じる女性
写真=iStock.com/CHAIWATPHOTOS
※写真はイメージです

「前面」と「背面」の身体バランスを整えると疲れが軽減する

前回の記事では、セルフケア以前に重要な「筋肉のつながり」に関するお話をいたしました。

猫背やスマホ首の方は、つい「肩や背中だけ」をほぐしてしまったり、ストレッチをしてみたり、1カ所に集中したアプローチをしがちです。

しかし身体中は筋膜でつながっていますので、身体の背面側に異常があるということは、前面も身体が凝っている、疲労がたまっているという場合も多々あります。

前面と背面と両方の身体バランスを整えることが重要なのです。

今回は、身体の前面にある「前のつながり」の筋肉にアプローチするケアと、身体の背面にある「後ろのつながり」の筋肉にアプローチする2つの効果的なケアを、解剖学的な知見からご紹介します。

1つ目は、前のつながりの一部である「腹直筋ふくちょくきん」へのアプローチです。

腹直筋は、身体の真ん中で肋骨と恥骨をつなげています。上体を起こす動作や、仰向けで脚を上げた時に腰を反りすぎないようにブレーキをかけています。

例えば腹筋のトレーニングでは、上部は上体を起こす時、下部は主に脚を上げる、ひざを寄せる時などに使われています。