より的確に筋膜を弛緩したければ「層」を意識する

そして筋膜を的確にリリースしたい場合は、筋膜の層を意識しましょう。筋膜は3層に分かれ、それぞれがつながっています。

この層間の密度が高まると滑走が悪くなり、筋肉の動きが制限されます。図表6では筋膜層のイラストは簡略化していますが、イメージとして確認してください。

層の隙間には血管や神経、リンパも通っており、影響を受けます。リリースは表層から玉ねぎの皮を剥くように行うことで、より深部の層にアプローチできます。

2つ目のリリース方法は、沈めた指で筋膜層を感じ、抵抗を感じる方向を探します。

見つけたら、その方向に膜をゆっくりずらし、抵抗がなくなるのを待ちます。力が強すぎると筋膜が反応しにくくなるため、ゆるまない時ほど力を弱めます。また、抵抗の少ない方向にずらして待つ方法もあります。どちらの方法も力ではなく、筋膜のセンサーに働きかけています。

きまたりょう『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑セルフケア編』(KADOKAWA)
きまたりょう『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑セルフケア編』(KADOKAWA)

ケアをする際にはテニスボールやフォームローラー®などの道具を使用することもあります。市販のマッサージグッズを使うことが理想ですが、家にあるものを代用する場合は、体重をかけても壊れないものなど、安全に使用できるものを選びましょう。

また、セルフケアは無理せず自分のレベルに合わせて行ってください。

「静的ストレッチ」は身体が一時的に不安定になる可能性があります。そのためスポーツの試合直前などは「動的ストレッチ」を行うのをおすすめします。

また、全身のバランスが大事です。身体を総合的に見ながら、1カ所だけに偏ったストレッチは気を付けるようにしましょう。

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