家族全員が2つの原則を守る

そうそう、もう一つ、気をつけなければならないことがある。孫の心理的安全性を確保するためには、家族全員に、同じように接しなくてはならない。

孫にはできても、自分の連れ合いに、あるいは子どもたち(孫の親や叔父叔母)に、心理的安全性を損ねるような会話を常時展開していたら、孫は、安心することができない。一貫して、「気持ちを受け止める余裕のある人」であることを見せる必要がある。

まぁ、そうは言っても、家族は一発触発、時には感情がぶつかり合うときもある。たまのことは、あまりに気にしないでいい。脳は繊細な感性を持っているけれど、だからこそ「粗雑な異常値」は「雑音」として切り落としてくれる。日常にしなければいい。

一言目は「いいね」か「わかる」で受ける

それでは、心理的安全性を確保する対話術その1、「相手が話し始めたとき、いきなり否定しない」について。コツは簡単、家族の話は、「いいね」か「わかる」で受けると覚悟を決めればいい。

吹き出しに「いいね」「わかる」
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相手が無邪気に言ったこと、ポジティブな気持ちで言ったことが、たとえ「ふざけんな」と思うことであっても、気持ちだけは受け止めてあげたい。なぜなら、無邪気に言ったことを否定されると、ヒトは話すことをやめ、発想力に蓋をするからだ。

私は、息子を育てるとき、この「その1」のルールを、けっこう守ってあげた。1991年生まれの彼が、AI時代を生きていく第一世代になることがわかっていたから。

「今日は学校に行きたくないなぁ」にも「わかるわぁ。雨だしね」みたいに。「いっそ、休んで遊んじゃおうかな」にも「いいね、ママも休んで、ホットケーキ焼いてあげたいなぁ」で受ける。「けど、そんなわけにはいかないこと、わかってるんでしょ?」と言うと、「まあね」と言ってランドセルを背負ったっけ。

たまには、そのまま休む日もあったけど、人生、それくらいの息抜きがあったっていいんじゃないのかなぁ。まぁ、そのあたりの考え方(学校は休まずに行くべき)は、人それぞれの哲学なので、気持ちを受け止めた後、きっぱりと送り出すのもよし。要は、子どもの最初のつぶやきを受け止めるってことだ。

息子が33歳になる今でも、私は、彼の気持ちの発露は「そうね」で受けている。週末、山で遊んできた月曜日の、「こんな日は会社に行くのがつらいよね」(私が社長の会社なんだけど)にも「そうよねぇ」と笑顔で。