先が見えない不確かな時代、わが子が夢をかなえるために親がしてやれることは何か。「プレジデントFamily」編集部が日本を代表する難関中学、高校の校長に取材した。わが子が小学生のうちに絶対やるべきこととは何か。第1回目は豊島岡女子学園校長の竹鼻志乃さん――。(第1回/全4回)

※本稿は、『プレジデントFamily2024春号』の一部を再編集したものです。

豊島女子学園中学校・高等学校校長の竹鼻志乃先生
撮影=市来朋久
豊島女子学園中学校・高等学校校長の竹鼻志乃先生

豊島岡女子学園中学校・高等学校校長 竹鼻志乃先生

お手伝いをしよう! 想像力を磨けるよ!

「自分で考え、自ら行動できる人」になってほしいと、どの親御さんも願うのではないでしょうか。小学生のうちにしておいてほしいこと、それは「おうちでのお手伝い」です。

お手伝い、といっても、そのつど親御さんから指示されてするお手伝いではなく、家族の一員としての役割をもらい、責任を持って担当する形のお手伝いです。

例えば「食器並べ」。その日のメニューに合わせて、「シチューならこっちの深いお皿だな」「サラダ用の器も出さなきゃ」「スプーンも必要だな」と自分で考えて用意するのです。

子供にとっては、家庭内で一定の役割を任されることで自己有用感が高まり、自信や責任感の醸成につながります。

このような「自分で考えて取り組むお手伝い」で身に付くことがもう一つあります。「想像力」です。家族が何を必要としているのか、どんなことをしてあげたら役に立つことができるのかを想像して取り組むことになるからです。

相手の気持ちや相手が考えていることを想像する力は、他者とコミュニケーションをとるうえでの土台となります。特に、グローバル化が一層加速するであろうこれからの社会を生きていく子供たちは、国籍はもちろん、文化も価値観も習慣も異なる人々とコミュニケーションをとっていかなければなりません。

そこでは、相手の立場に立って考える想像力を働かせることができるかどうかが、大切になります。自分の考えを主張しつつ、相手にも配慮することができれば、歩み寄りも可能でしょう。

相手の気持ちを想像できるということは、言い換えれば「気遣いができる」ということでもあります。気遣いは信頼につながります。