2024年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。人間関係部門の第3位は――。(初公開日:2024年4月30日)
本当に付き合うべき相手はどのような人か。医師の和田秀樹さんは「50代になったら、『仕事ができる』『つき合いが長いから』といった基準だけでのつき合いはやめるべきだ。最も大切にしたい基準は『その人といて心地良いか否か』である。だからと言って『イエスマン』や『同調できる人間』だけとつき合うと本当に刺激がなくなる。自分の考えや気持ちを自由に安心して言い合える『心理的安全性』のある人間関係を、仕事でもプライベートでも持てるのが最高ではないか」という――。
※本稿は、和田秀樹『老後に楽しみをとっておくバカ』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
人間関係の悩みの9割は“決めつけ”でしかない
「すべての悩みは対人関係の悩みである」
そう論じたのはオーストリア出身の精神科医アルフレッド・アドラーです。
どういうことか、わかりますか?
この世界の中で、あなた一人しか存在していなかったら、劣等感や悲壮感や孤独感を味わうことなどない、ということです。
たとえば、あなたが容姿に悩んでいるとしたら、それは他の誰かと比べて、著しく太っていたり、背が低かったりするからです。自分しか存在しないのであれば、相対的に自分を評価して悔しい思いをすることなどありません。
「ネガティブ思考」であることや「誰とでも気軽に明るく接することができない」などに劣等感を抱いているとしても同様です。自分よりも友達が多い誰かや、部下や後輩から好かれている誰かがいるから自分を蔑んでしまうのです。
要するに、別の誰かが存在するから、私たちは相対的に自分を彼らと比べて、優劣をつけてしまう。
比べた結果、自分が劣っていたとき、ことさら自らを卑下して悩み、傷つくわけです。
もう一歩踏み込むならば、「人間関係の悩みは、ほとんどが“決めつけ”でしかない」とも言えます。