ホンダが今年6月に販売した新型フリードが好調だ。自動車ライターの小沢コージさんは「サイズが少し大きくなり、走りやインテリアの質も向上した。これは同じコンパクトミニバンであるトヨタのシエンタの戦略とは大きく異なる」という――。
ホンダの新型フリード
筆者撮影
ホンダの新型フリード

なぜホンダのフリードは売れ続けるのか

「最高にちょうどいいホンダ!」のキャッチで有名な国産コンパクトミニバンがやっと登場しました。それは今年6月末頃に発売された3代目ホンダ フリード。

最初の1カ月受注は、約3万8000台と好調で、月販目標の約6倍。

直近7月、8月販売も8442台(月販6位)、6990台(月販5位)とまずます。着実に売れています。(※数字は一般社団法人 日本自動車販売協会連合会より)

それもそのはず、このカテゴリーには競合が1台しかいないのですから。基本5ナンバーサイズで全長4メートルちょいと短く、両側電動スライドドアを持つ3列ミニバンは、現在フリードとトヨタ シエンタの2車種だけ。他に日産やスズキから競合モデルが出てもおかしくないですがその気配すらありません。

なにしろ先代フリード(2代目/2016年~)は「もうすぐフルモデルチェンジ」と言われ続け、セールス期間は8年目を迎えながら、末期の2023年3月は月販でシエンタに肉薄するほど。いまどきこれだけ人気が長持ちするカテゴリーも珍しいのです。

実際、小沢も今年5月にららぽーと横浜で行われた先行展示会に行き、あまりの人気の高さに頭がクラクラしてきました。平日にもかかわらず、多いと10組ぐらい見学者が並んでいるのです。しかも現場では「見学1回4分」の制限付き。

先行展示会は大盛況
筆者撮影
先行展示会は大盛況

こう言ってはなんですが、たかが250万円スタートのファミリーカーであり、憧れのスーパーカーではありません。通りがかりの主婦はなんでこんなに並んでいるの? と驚いておりました。

フリードがなぜこれほど人気なのか。それはコンスタントに月販ベスト10に入り、2代目で既に販売累計100万台を突破し、2022年に国内ミニバンセールス1位に輝いた実績もありますが、なによりも非常に明確な構造的理由があります。