親が子供を叱るときには、どのように接すれば良いのか。『子どもを否定しない習慣』(フォレスト出版)を書いた林健太郎さんは「感情を爆発させて叱ることは絶対にダメだ。一度怒りをこらえて、子供の話を『聞く』ことから始めたほうがいい」という――。(第3回)
子どもをしつけている母親
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「感情的に怒る」のは絶対NG

子どもとのコミュニケーションにおいて、「叱る」ことは決して悪いことではありません。しかし、「やってはいけない叱り方」があります。大前提として一番いけないのは、感情的になって感情をぶつけるように叱ること。

本書の第1章でも触れた通り、自分のネガティブな感情を爆発させて、子どもに向けて、それを発散するために叱ることはNGです。

ビジネスの世界でも、「叱る」「注意する」はOKでも、「感情的に怒る」はNGとされています。欧米では、感情をコントロールできない人は人として未成熟で、管理職になるのは不適切と認識されます。

感情を害したときには、誰でも冷静な判断ができなくなります。

とはいえ、感情コントロールを完全に行うことは難しいのも事実です。だからこそアンガーマネジメントなどの考え方がありますし、感情のコントロールの本があったりしますね。覚えておいてほしいのがこの言葉。

子どもに対して自分の感情にまかせて言葉を振りかざさない。

たとえば、あなたの仕事や対人関係で大問題が発生し、リビングでそのことについて悩んでいるようなとき。突然、そのすぐ横で、幼い兄弟が喧嘩を始めたとしたら……。

兄弟喧嘩なんて、普段なら、そんなにきつく叱るほどのものではありません。しかし、自分が別件でイライラしていると、つい「くだらないことで喧嘩してないで、静かにしなさい!」と怒鳴ってしまう……。

これは明らかに、自分のネガティブな感情を子どもにぶつけています。言われた子どもたちは、その剣幕に驚いて、泣き出してしまうかもしれませんね。

“怒りそう”になったらどうしたら良いのか

正確にいえば、これは「叱る」ではなく、単に「怒って」いるだけ。いわば怒りモードです。こうした「ただの怒りモード」による否定は、本書の第1章でお伝えしたように、子どもとの関係性にヒビを入れ、萎縮させてしまうことになります。

それが蓄積されると、親の顔色をうかがったり、親の機嫌を取ろうとしたりして、本来持っている心が開かなくなってしまう可能性すらあります。ここは意識的に、自分の感情の爆発を抑えてください。

ときどき、騒いでいる子どもより、はるかに大声で怒っている親御さん、いますよね。子どもに対して「意図的な『叱る』はOK、感情的に『怒る』はNG」なのです。

意図的な「叱る」はいいけれど、感情的に「怒る」のはアウト。理屈ではわかっていても、実行するのはなかなか難しいでしょう。

私の著書で繰り返し書いているのが、感情がネガティブな方向に振れる出来事に遭遇したときは、「瞬時に反応しない」ということです。

たとえば、子どもが壁に油性ペンで落書きをしているのを発見したときなど、一瞬で感情が爆発して声を出してしまいそうになりますよね。そんなときでも、3秒くらい感情をフリーズさせてひと呼吸おくのです。

そうやってひと呼吸おくことで、なんとか瞬時に怒りが爆発するのを防ぐことができます。