「感情的に怒る」のは絶対NG
子どもとのコミュニケーションにおいて、「叱る」ことは決して悪いことではありません。しかし、「やってはいけない叱り方」があります。大前提として一番いけないのは、感情的になって感情をぶつけるように叱ること。
本書の第1章でも触れた通り、自分のネガティブな感情を爆発させて、子どもに向けて、それを発散するために叱ることはNGです。
ビジネスの世界でも、「叱る」「注意する」はOKでも、「感情的に怒る」はNGとされています。欧米では、感情をコントロールできない人は人として未成熟で、管理職になるのは不適切と認識されます。
感情を害したときには、誰でも冷静な判断ができなくなります。
とはいえ、感情コントロールを完全に行うことは難しいのも事実です。だからこそアンガーマネジメントなどの考え方がありますし、感情のコントロールの本があったりしますね。覚えておいてほしいのがこの言葉。
子どもに対して自分の感情にまかせて言葉を振りかざさない。
たとえば、あなたの仕事や対人関係で大問題が発生し、リビングでそのことについて悩んでいるようなとき。突然、そのすぐ横で、幼い兄弟が喧嘩を始めたとしたら……。
兄弟喧嘩なんて、普段なら、そんなにきつく叱るほどのものではありません。しかし、自分が別件でイライラしていると、つい「くだらないことで喧嘩してないで、静かにしなさい!」と怒鳴ってしまう……。
これは明らかに、自分のネガティブな感情を子どもにぶつけています。言われた子どもたちは、その剣幕に驚いて、泣き出してしまうかもしれませんね。
“怒りそう”になったらどうしたら良いのか
正確にいえば、これは「叱る」ではなく、単に「怒って」いるだけ。いわば怒りモードです。こうした「ただの怒りモード」による否定は、本書の第1章でお伝えしたように、子どもとの関係性にヒビを入れ、萎縮させてしまうことになります。
それが蓄積されると、親の顔色をうかがったり、親の機嫌を取ろうとしたりして、本来持っている心が開かなくなってしまう可能性すらあります。ここは意識的に、自分の感情の爆発を抑えてください。
ときどき、騒いでいる子どもより、はるかに大声で怒っている親御さん、いますよね。子どもに対して「意図的な『叱る』はOK、感情的に『怒る』はNG」なのです。
意図的な「叱る」はいいけれど、感情的に「怒る」のはアウト。理屈ではわかっていても、実行するのはなかなか難しいでしょう。
私の著書で繰り返し書いているのが、感情がネガティブな方向に振れる出来事に遭遇したときは、「瞬時に反応しない」ということです。
たとえば、子どもが壁に油性ペンで落書きをしているのを発見したときなど、一瞬で感情が爆発して声を出してしまいそうになりますよね。そんなときでも、3秒くらい感情をフリーズさせてひと呼吸おくのです。
そうやってひと呼吸おくことで、なんとか瞬時に怒りが爆発するのを防ぐことができます。