子どもの学力を伸ばすためには、どんな子育てを心がけるべきか。小児科医の成田奈緒子さんは「学力の伸ばすためには、勉強ではなく『よく食べて、よく寝て、規則正しく生活する』ことが大切だ。脳には大きく分けて3つの発達段階があるが、子どもの頃から勉強をさせすぎると脳が成長する順序を乱してしまう。5歳までは『立派な原始人』を目標にして育てるべきだ」という――。(第2回)
※本稿は、成田奈緒子『子どもの隠れた力を引き出す最高の受験戦略 中学受験から医学部まで突破した科学的な脳育法』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
生活の軸を基本にして、残った時間で勉強をする
脳育ての理論において、私が何よりも重視しているのは早寝早起きと睡眠時間という「生活の軸」です。まずは生活の軸を守った上で、次に食事や入浴といった生活に必要な時間を差し引き、最後に余った時間を勉強にあてるのです。
勉強をやらなくても子どもの成長に支障はありませんが、勉強を強制されることで心身にさまざまな症状が現れてしまった子どもを今までに数多く見てきました。「そんなことをいっても、子どもが落ちこぼれたら将来かわいそう」と思われるかもしれません。
しかし、学ぶことの重要性を自分で理解できれば、子どもは自ら勉強をするようになります。それが子どもの脳を育てるということです。隣で子どもにつきそいながら時間をかけて勉強を教えても、残念ながら子どもの脳を育てる根本的な方法にはならないのです。