怒りをこらえたら子供の話を「聞く」
では、それができたら次は何をするのがよいか。
次は、「子どもの話をフラットに聞く」ということを習慣にしましょう。これはビジネスリーダーでいえば、「まず、部下の話を聞く」という傾聴という技術にあたります。
営業の世界でも、昔の営業担当者はお客様よりも先に商品の性能などについて説明しました。しかし今は、まず、「お客様の話を聞く(傾聴する)ことで、ニーズを知ることが先」というのが常識になっています。
面白いのは、売れる営業マネジャーが、お客様に対しては傾聴ができるのに、なぜか部下に対しては話を聞かず、自分が先にしゃべってしまう方が多いことです。
どうも、自分のほうが仕事を知っているという自覚からなのか、部下を育てたいという思いが強いのか、「聞くこと」がおろそかになるようなのです。
本章の最初で、コミュニケーションは「伝える」「聞く」「話し合う」の3つに大別できるとお伝えしました。理想のコミュニケーションは、次のような順番となります。
あるいは
「聞く」→「伝える」→「話し合う」
どちらにしても、最初は「聞く」がスタートです。怒りを爆発させるのを、グッとこらえたら、まずは「聞く」から始める。それを意識するよう、がんばってみてください。
“うまく叱る”には準備が必要なワケ
スポーツでもなんでもそうですが、準備なしに行動を起こすと失敗する確率が高いもの。ですから、瞬時に怒りを爆発させたいわけではなく、冷静に「叱る」場合であっても、うまく叱るためには準備をしたいところです。
会社の上司と部下の関係なら、就業時間が終われば、とりあえず「また明日」とリセットすることができます。
しかし、親子はそうはいきません。意図しない叱り方をしてしまったとしても、同じ屋根の下での時間が続きます。
そう考えると、「叱る」ときは、叱ることによって、「最終的にどういう会話にたどりつきたいか」「どんな関係性になっていきたいか」「子どものどんな行動にむすびつけたいか」などを想像してみることが大切です。
一度これらを考えてから会話をすると、伝え方や聞き方が大きく変わってきます。
そもそも、叱るときに、いきなりこちらが言いたいことをぶつけても、子ども側は、それを聞く準備ができていません。子どもに、聞く準備をさせて、伝えたいことを伝えるには、次の5ステップの手順を踏むとスムーズにいきます。