コミュニケーション力の悩みは、どうすれば払拭できるか。教育学者の齋藤孝さんは「最近は『コミュ障』という言葉が使われるようになったが、自身がコミュ障だという人もそこまで悲観する必要はない。『長く話さないようにする』『聞き役にまわる』の2つのポイントをおさえれば気にならなくなる」という――。
※本稿は、齋藤孝『自分を動かす魔法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
「コミュ力」至上主義に振り回されない
最近、若い人たちがコミュニケーション能力に求めるレベルが上がっているように感じます。たしかにコミュ力の高い人は人気があります。
でも、ぼくはすべての人がそうである必要はないと思っています。
人間関係がうまくいかないとき、「自分はコミュ障だから」という理由づけをして、自分からそれをまわりにいう人もいます。
「コミュニケーション障害」を略して「コミュ障」。
「障害」と呼ぶと、なんだか深刻な問題のように思えてきますが、「現実にはそこまでではないんじゃあないの?」
ぼくはそう思っています。おそらく多くの場合、
「人と話すのがちょっと苦手です」
「人前で話すのはちょっと避けたいです」
というくらいのことでしょう。
そう、「ちょっとのこと」なんです。
それなのに、どうして「コミュニケーションがうまくいかない」と感じてしまうのでしょう。
その原因の一つは、「自分に対する理想が高すぎる」ことにあります。
つまり「自分に求めているコミュニケーション能力のレベル」が高すぎるのです。だから、「人前でうまくしゃべらなきゃいけない」「盛り上げないといけない」と思って、それができないと自信を失ってしまう。
でもお笑い芸人ではないのですから、うまくしゃべる必要はないですよね。そもそも彼らとは、話をするステージが違うのです。
もし、きみがうまく話さなくちゃいけないと思っているなら、まずは自分で高く設定してしまったそのハードルを下げましょう。
そこで、ぼくからのメッセージ。