心の免疫力を高めるにはどうすればいいか。教育学者の齋藤孝さんは「イギリスの古いことわざに『ころがる石に苔つかず』という慣用句があるが、その解釈は二つある。一つは、『人間も一つのことに腰を落ち着けて、しんぼう強く取り組まないと、何も身につかない』というもので、もう一つは、『向上心をエネルギーにして前へ、前へところがり続ければ、それが勢いになって、外からの“ネガティブ攻撃”をはねのけることができる』というものだ。心の免疫力を鍛えるには、後者の解釈で向上心を持ち続け、ローリング・ストーンでいくのがいいだろう」という――。
※本稿は、齋藤孝『自分を動かす魔法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
向上心は「心の免疫力」を高めるカギ
体の免疫力が高いと、いろいろな病気にかかりにくくなります。
なぜなら、細菌やウイルスが体内に入ってきても、自己を守る機構が強く機能しているからです。
それは心も同じで、「心の免疫力」が高ければ、自分の身に何か起こっても、また人から何かいわれても、簡単には心が傷つきません。
では、「心の免疫力」を高めるにはどうすればよいか。
ズバリ、「向上心」を持つことだとぼくは思っています。
簡単には傷つかない心のつくり方
「ころがる石に苔つかず」とか「転石苔を生ぜず」という慣用句があります。
“A rolling stone gathers no moss.”
というイギリスの古いことわざが由来です。
解釈は二つあって、一つは、
「ころがってばかりいる石には苔がつかないが、一つのところに長いあいだ留まっていれば苔がつく。それと同じで、人間も一つのことに腰を落ち着けて、しんぼう強く取り組まないと、何も身につかない」
というもの。