事業が順調な企業が株主に支払う「配当金」。株式投資をしっかり学び、配当金を多く出してくれる高配当銘柄の保有で、自分年金を作ることができる。誰でもできる簡単高配当株投資術を、高配当株でFIREした専業投資家が伝授する。
矢印の書かれた木製ブロックを積み上げていく手
写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
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配当狙いの株式投資は忙しい人にもおすすめ

個人投資家だった親などの影響で、私は消防士の仕事の傍ら22歳から株式投資を始め、年100万円を目標に株を買い増していきました。その結果、資産が約2億円に達した49歳で、「FIRE」しました。その後もどんどん増えていく配当金を元手に株投資を続け、アベノミクスの株高などの追い風もあって、現在の資産は約8億円、年配当は2000万円以上になりました。

『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門 「自分年金」を増やす最強の5ステップ』
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もともと地方公務員だった私が、なぜこれだけ資産を増やせたのかと言えば、「高配当株」に狙いを絞って、安定した「インカムゲイン」を継続的に得られたからです。高配当株20〜30銘柄を厳選すれば、放っておいてもトントン拍子の資産形成が期待できます。

株式投資では、一般に値上がり益、「キャピタルゲイン」がフォーカスされます。しかし、私は、株投資の初期からインカムゲインに注目していました。

高配当株を選ぶべき理由の1つ目は、長期保有に適していて、頻繁な株の売買をしなくていいこと。高配当株への投資は、多忙なビジネスパーソンにも、向いていると言えるでしょう。

実は、私はFIREした後の現在に至るまで、「デイトレード」はほとんどしていません。若い頃は消防士だったので、勤務中はいつ出動があるかわからず、株式市場をチェックするような余裕はありませんでした。キャピタルゲインを狙うのであれば、株価や相場の動向をつかんで、株の的確な売り時、買い時を見極める必要があるので、デイトレードが有利です。しかし、私にとって、仕事とデイトレードを両立させるのは難しかったのです。

高配当株は毎年、自動的に配当があるので、値上がり益を考えなくても一定の利益を確保でき、長期保有すると、累計の配当収入は高額になります。株の売買をあまりしないので、株価の変動に振り回されることもありません。

高配当株を選ぶべき理由の2つ目はハイリターンです。例えば、株の配当利回りが、平均年4%だったとしましょう。すると、その株を10年持っていれば、単純計算で投資額に対して40%の利益が得られるわけです。実は、キャピタルゲインを狙った場合、10年間で40%も値上がりするようなハイパフォーマンスの株は、滅多にありません。つまり、値上がりを期待できる株を探すよりも、高配当の実績がある株を探したほうが、効率がいいのです。

それに、配当収入は、次の株投資の原資にもなります。私の場合、若い頃の公務員の給与は、たかが知れていたので大いに助かりました。それが、高配当株を選ぶべき理由の3つ目。キャピタルゲインに頼った投資では、保有株を処分していったん含み益を吐き出さないと、再投資ができません。しかし、配当金が多ければ、そうした必要がなくなるわけです。株の長期保有なら、デイトレードに比べて、売買手数料もほとんどかかりません。

加えて、高配当株は、実は、キャピタルゲインも得やすいのです。なぜなら、株で高配当ができるのは、企業の収益力、成長力を示すバロメーターにもなるからです。収益力や成長力が高い企業の株は、値上がりも期待しやすいというわけです。それが、高配当株を選ぶべき4つ目の理由と言えます。

さらに、高配当株を選ぶべき5つ目の理由も挙げておきましょう。それは「優待株」の存在です。高配当株は、配当利回りが高い株だけではありません。通常の配当のほかに、株主にさまざまな形で利益を還元する「株主優待制度」がある企業の株は、「実質的な配当利回り」が高いのです。例えば、時価50万円の株の配当が年1万円だとすると、表面上の配当利回りは2%ですが、さらに、株主優待で店舗などの「無料利用券」が年1万円分もらえるとすれば、実質的な配当は年2万円となり、「総合利回り」は4%にもなるわけです。したがって、優待株も高配当株の一種と考えていいでしょう。