日本人は「ナッツ」「オリーブオイル」で健康になるのか
脂肪に関しても考えないといけません。脂肪にもいろいろ種類があるのですが、ざっくりと分けると、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸は、血液中の中性脂肪やコレステロールなどに悪影響があり、心臓病のリスクを高める可能性があるといわれています(※17)。
飽和脂肪酸は牛肉や豚肉などの鳥以外の肉類や乳製品、ココナッツ油やパーム油などに多く含まれています。地中海食では脂肪分をとる時には、これらよりはオリーブオイルなどを積極的にとることになっています。
さて、こういった話はよくテレビ、雑誌やインターネット記事で取り上げられるため、「ナッツを食べると健康になるのだ!」「よし! 明日から家の油はすべてオリーブオイルにしよう!」と考えられる人も多いのですが、注意が必要です。
これらの比較対象はこういった食事をしていない人たちです。例えば先ほどの飽和脂肪酸ですが、現在日本人の摂取量の中央値は全エネルギーの6.2〜8.2%と言われており(※18)、目標値の7%は約半分の人が達成されていることになります。
また、ここでいうオリーブオイルなどというのはサラダ油やごま油などの植物油でも問題はなく、サラダ油をオリーブオイルに変えたから健康的だということではありません。
現在の食事がこの地中海食と真逆の人であれば効果がある可能性は高いですが、そもそも日本食がかなり近い形ですし、ましてや今の食事はそのままにして、追加してナッツを食べたりワインを飲んだりオリーブオイルをかけると健康的になるということではありませんので、その点には注意が必要です。
アメリカ糖尿病学会がすすめるプレート食
自分がどんな食品をどれぐらい食べたらよいのか? それを正しく知るというのはかなり難しいです。もし、あなたが糖尿病や高血圧症などの病気があれば、病院を受診することで栄養士さんにいろいろと詳しく教えてもらえます。
費用は3割負担で1000円弱です。自分のことを詳しく知るのにはとてもよいのですが、残念ながら今の保険制度ではなんらかの病気がある人か、食べる力が落ちてしまった人か、低栄養状態にある人のみ適用で、健康だけど将来の病気を予防したい! という人は保険で受けることができません(※19)。
また、詳しく知るのには時間もかかります。とりあえず、ざっくりとちゃんとした食事の情報を知りたい! という人向けに農林水産省が「食事バランスガイド」というものを出しています(※20)。
これは推定エネルギーが2200kcalのものですので、ご自身の体重によって上下しますが、いかがでしょうか? いろいろと細かくなっているのですが、わかりやすさからは少し離れているかもしれません。
さて、アメリカは肥満大国と言われており、最新のデータですと国民の4割以上が肥満です(※21)。また、10年前は3割ほどでしたので、増加傾向であると言えます。
こういった問題があることからシンプルな食事ガイドが求められており、プレート法と呼ばれる食事法が一般的にすすめられています。今回は糖尿病学会が推奨する方法について解説します(※22)。
23センチほどの目安のお皿を用意し、下図のように仕切りをします。もとからしきりがあればなおよいです。