今の体重は増えているのか減っているのかを把握する

どれぐらいの体重がよいのでしょうか。BMI(肥満指数)を参考にしてみましょう。BMIは体重÷(身長×身長)で求められます。あくまで参考値ですが日本人の食事摂取基準(※10)では表のようになっています。高齢者では痩せの基準が厳しくなっていることにご注意ください。

この基準は総死亡率が一番少なかったBMIを元に、生活習慣病やフレイルなどを考慮して考えられています。

では、必要なエネルギー量はどれぐらいでしょうか。成人では体重当たり1日、30~40kcalと言われています。ただし、日常どれぐらい体を動かすかや体質などによっても異なります。あくまで計算上であることを意識しないといけません。

実際今の食事で体重が増えているようであれば食事量は多い、今の食事で体重が減っているようであれば食事量は少ない、ということになります。

ですので、実は最も大切なことは今どれぐらいの食事をとっているのか、今の体重は増えているのか減っているのか、それを把握することが大切です。

食事の記録は難しいですが、最近はスマホのアプリなどで簡単に記録したもので摂取エネルギー量を推定できるものも増えていますので、それらを使用するのもよいと思います。

地中海食に近い食事をとっている人はがん発生率と死亡率が低い

「地中海食」という食事を聞かれたことがあるでしょうか? 地中海食はフランス、イタリア、スペインなど地中海沿岸の国々の人たちが食べている伝統的な食事のことで、以下のような特徴(※11)があります。

・全粒穀物、野菜、豆類、果物、ナッツ、種子、ハーブ、スパイスなどの植物ベースの食品を積極的にとる

・脂肪の主な供給源としてオリーブオイルなどを用いる

・魚、海産物、乳製品、鶏肉は適度にとる

・動物の肉や甘いものはたまにしか食べない

・適量のワインを飲む

15万人以上の被験者を3~18年間追跡した12件の研究を分析した報告(※12)ではこの地中海食に近い食事をとっている人はそうでない人に比べて、がんの発生やがんによる死亡、パーキンソン病とアルツハイマー病の発生、心臓病による死亡、全ての原因による死亡が少なかったとされています。

そういったことから地中海食は健康的な食事として知られています。地中海食はそれぞれを考えるとなぜ健康的なのかがわかってきます。

日本において植物由来の食品と心臓病や死亡率との関係を調べた研究(※13)では、野菜摂取量、果物摂取量、豆類の摂取量が多い人はそうでない人に比べて、それぞれ心臓病による死亡、全ての原因による死亡どちらも少なかったと報告されています。

そういったことから厚生労働省は健康日本21において野菜の摂取目標を350g、果物摂取目標を200gとしています(※14)

全粒穀物とは大麦、玄米、オートミールなどの穀類です。反対に精製穀類と呼ばれるものは、白米、白いパンなどです。穀類は精製加工する際に胚芽などが除去されます。

この除去された部分に食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが含まれるため、全粒穀物は精製穀類に比べてこういった栄養分が多いです。全粒穀物は肥満(※15)、心臓病による死亡率、すべての原因による死亡率(※16)の減少に関係しています。