紫式部は20代半ば過ぎに貴族の藤原宣孝と結婚した。歴史評論家の香原斗志さんは「当時としてはかなりの晩婚だった。その理由は、藤原道長を諦めきれなかったからではなく、父が無官だったからだ」という――。
東京タワー下の特設会場で行われる期間限定のイベント「モエ・エ・シャンドン “エフェルヴェソンス” シャンパンの魔法と輝きを」のフォトコールに登場した俳優の佐々木蔵之介さん(2022年12月8日、東京都港区)
写真=時事通信フォト
NHK大河ドラマで藤原宣孝を演じる俳優の佐々木蔵之介さん。東京タワー下の特設会場で行われる期間限定のイベント「モエ・エ・シャンドン “エフェルヴェソンス” シャンパンの魔法と輝きを」のフォトコールに登場した。(2022年12月8日、東京都港区)

道長と紫式部は本当に恋愛関係にあったのか

平安時代の空気がそれなりにかもし出されているのはいいのだが、今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」は、若き藤原道長(柄本佑)と紫式部(吉高由里子、ドラマではまひろ)のかなわぬ恋愛が、いつもドラマの真ん中に置かれているのが気になるといえば気になる。

紫式部が若いころのことは、あまりわかっていないとはいえ、この2人が若い時分に恋愛関係にあった可能性は、歴史学の側からも、国文学の側からも、ほぼなかったと考えられている。

ところが、「光る君へ」では、2人のさまざまな行動の起点が、この恋愛に置かれてしまう。道長が左大臣源雅信(益岡徹)の娘、倫子(黒木華)および源明子(瀧内公美)と続けざまに結婚する気になったのも、まひろと破局したからであり、まひろが結婚する気にならないのも、道長への思いを断ち切れないせいだという描き方である。

第12回「思いの果て」(3月24日放送)では、道長からの手紙を受けとったまひろは「妾でもいい、あの人以外の妻にはなれない」と決心して逢引きの場所に駆けつけたが、道長から左大臣家へ婿入りすることになったと聞かされると、思いを伝えられなくなる。道長は心のなかで「妾でもよいといってくれ」と願っているが、まひろには伝わらない。