若い頃と比べて睡眠習慣に変化が起きたらどう対応すればいいか。医師の大坂貴史さんは「高齢者は若い人に比べて、早寝早起きになり、睡眠も浅くなる。そして夜間は寝つきが悪い一方、昼間は寝つきがよくなる。これでは睡眠時間はあまり変わらないものの、寝床にいる時間が増えることで、サルコペニアや心血管病などに関係し、かえって不健康になってしまう。また60歳以上で睡眠時無呼吸症候群が1.7倍になると言われているため、日中の眠気が強い場合などは検査を受けてほしい」という――。
※本稿は、大坂貴史『75歳の親に知ってほしい!筋トレと食事法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
レム睡眠の間は全身の筋肉が弛緩、ノンレム睡眠は脳の活動が低下
「眠る」ということは人間を含めたすべての動物に必要な脳と身体を休める行為です。動物によってその時間は異なりますが、人間は約3分の1の時間を睡眠に費やします。
そして、その睡眠が不足した場合にはパフォーマンスの低下、事故や死亡のリスクの増加、心理的および身体的健康の悪影響があることは誰しもが感じることです。
寝ている間はずっと一定に寝ているというわけではありません。その間にも脳の活動は大きく変化します。寝ている間は大きく分けてレム睡眠とノンレム睡眠があります。
レム睡眠のレムはRapid Eye Movementの頭文字をとったもので寝ている時に眼球が素早く動くことから名づけられています。このレム睡眠の間は脳の活動が活発で全身の筋肉は弛緩しており、ノンレム睡眠の間は逆に脳の活動が低下しております。
眠る時にはこのノンレム睡眠から始まります。このノンレム睡眠はそのうちステージN1、N2、N3と分けられており(※1)、それらを経てレム睡眠となります。夢を見ているのはレム睡眠の間と言われており(※2)、睡眠時間全体の4分の1未満ですが、記憶の定着などに重要な役割を担っているだろうと言われています(※3)。