年を重ねても、健康で居続けるにはどうすればいいか。医師の大坂貴史さんは「WHOは『筋力強化は全ての人の健康に役立つ』と述べているが、なかでも最も効果的と言えるのが高齢者だ。年をとり特別身体を動かさずに筋トレをしていないと、筋肉量が落ち、それが体力低下につながり、糖尿病や他の病気を招き認知症や寝たきりに繋がっていく。ダンベルやマシンを使った高負荷トレーニングと同等の効果が得られる、自重のスロトレをやらない手はないだろう」という――。

※本稿は、大坂貴史『75歳の親に知ってほしい!筋トレと食事法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

自宅でダンベルを持ってスクワットをするシニア女性
写真=iStock.com/petesphotography
※写真はイメージです

1日5分程度、週約30〜60分が最も効果的

消費カロリーを増やすには強度を増やすか時間を伸ばすかです。そして、健康効果を目標とする場合でもWHOの身体活動・座位行動ガイドライン(※1)では「少なくとも週150〜300分」と記載されており、「そんな長い時間は難しいよ〜」と思ってもしかたないと思います。

それに対して、筋トレは先ほどのガイドラインでも時間が規定されていません。実際、筋トレをどれぐらいやるのが、健康にとってよいのかということについてある研究結果(※2)を解説しましょう。

2022年に大きな病気をしていない18歳以上の成人を対象に、筋トレと健康との関連を調査した16件の研究をまとめた報告が行われました。

それによると健康による効果は週約30〜60分の筋トレが最も効果的で週120分以上行うと逆に健康の効果がなくなるというものでした。1日約5分もすれば達成できてしまうため、大変効率的であると言えます。

また、筋トレで筋力を増やすのも時間をかければよいということではありません。次の項で詳しくお話ししますが、十分な強度であることが重要です。

実は大変重要な研究が日本で行われておりまして(※3)、それによると1日3秒間の上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋トレを4週間行ったところ、なんと10%の筋力上昇が得られたということが報告されています。

たった、3秒間の筋トレをする時間がないという人はいないと思いますし、全くやらないよりは短時間で遥かに効果が得られるのがよい点です。

このように筋トレは時間をかけずに効果が得られる特性を持っていますので、時間がない人、長い時間かけるのが面倒くさいなと思っている人にとっては本当に有効な運動であるということがわかるかと思います。

これをご覧になっている人、今日筋トレしましたか? 3秒間だけでもやってみませんか?