何回もできないくらいの負荷で行う
筋トレには大事な3原理があります。「過負荷の原理」「特異性の原理」「可逆性の原理」です(※4)。順番に解説します。
「過負荷の原理」とはある程度の負荷を身体に与えないとトレーニングの効果が得られないということです。日常生活と変わらないくらいでは筋肉は大きくならないし、力はつかないのですね。力を維持するという目的であれば日常生活と同程度でよい可能性はありますが、効果は落ちるでしょう。
「特異性の原理」とはトレーニングを行った部位やその能力のみがよくなるということです。つまり、立ち上がりに不安が感じるのであればスクワットなどのような立ち上がるトレーニングがよく、腕立て伏せで足の力が強くなることはないということです。
「可逆性の原理」とはトレーニングをやめればトレーニングによって得られた効果を失うということです。まぁ、当たり前ですよね。
この中で「過負荷の原理」についてここで解説します。つまり、筋トレを行ってうまく筋肉の量を増やしたり、筋力をつけたりするためには、そこそこしんどいことをしないといけないということです。こういったことが筋トレに苦手意識を持つ人が多い理由かもしれません。
さて、筋トレの強度にはRMという概念があります。RMとはRepetition Maximumの略で、決まった重さに対して何回反復して関節運動を行うことができるかによって強度を決める方法です。
例えば、1回が限界の負荷は1RM、最高5回繰り返せる負荷は5RMです。数字が大きいほど強度は低くなります。
別の言い方として1RMの何%という言い方もあります。そして、筋力をつけたり筋量を増やしたりしたいのであれば、何回もできないくらいの負荷で行う必要があります。つまり、何度もできるような筋トレをしても筋力や筋量を増やすのには効率が悪いということです。これが、ウォーキングをしても筋肉を増やすのが難しい理由です。
ダンベル・自重「筋トレ」の決定的な違い
さて、図表2はそれぞれの強度における筋トレの効果を示したものですが、負荷が強いと筋力が主に増強され、中程度だと筋肉が大きくなり、負荷が少ないと筋持久力が中心によくなります。
負荷についてですが、あくまでもその本人にとってですので、人によってもちろん大きく変わります。
例えばスクワットを3回しかできない人にとってはその1回はすごく高い負荷になり筋力を増強できますが、スクワットを20回できる人にとってはその1回は負荷が低くなりますので、筋力や筋量を増やしたりするのには効率が悪いということになります。
前者の人は自宅でスクワットをするだけで効果が期待できますが、後者の人は負荷を上げるためにダンベルやバーベルなどが必要になってきます。つまり、筋力が低い人にとって、筋トレは非常に効率がよい運動と言えます。
当たり前のようですが、同じ筋トレをしていると自分の筋力が上がりますので、今までしていた筋トレの自分にとっての負荷が低くなっていきます。
そのため、筋力が上がる効率がだんだん悪くなって、どこかでほぼ変わらなくなります。ですので、自分の筋力を評価しながら実施していくことが大切です。ジムなどではそのあたり考慮しながら指導してくれますが、自分で行う場合は自分で調整が必要です。
ダンベルなど重りを使った筋トレであるならば調整ができますが、スクワットや腕立て伏せなどでは難しいです。
私が作成しているYouTubeチャンネルである「くろまめチャンネル」では全ての動画で重りを使わない筋トレで強度を調整できるようにしています。
自宅で実施する上でも強度調整をしやすいと思いますので、ぜひご利用ください。