スクワットにはどんな効果があるのか。筋肉研究を専門とする東京大学名誉教授の石井直方さんは「足腰の筋肉を中心にして、全身の筋肉を鍛えることができる。私は2度のがんの闘病中もスクワットを続けていたおかげで、術後の回復がとても速かった」という――。

※本稿は、石井直方『鍛えれば筋肉は味方する いのちのスクワット』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

太ももの筋力は50年間で半分に減ってしまう

ここでは、私がスクワットを推奨する理由をお話ししましょう。

スクワット
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私たちの足腰や体幹の筋肉は、加齢や不活発な生活を続けることによって、どんどん弱ってしまいます。30歳から80歳までの間に、普通に生活しているだけで、太もものサイズと筋力は、およそ半分に減るのです。

しかも、これらの弱りやすい筋肉はすべて、「立つ」「歩く」「座る」といった、ふだんの生活での基本的な動きを支えているものです。これらの筋肉が弱ってしまったら、日常の基本動作さえ、おぼつかなくなります。

スクワットは人間の動作の基本中の基本

私がスクワットを皆さんにお勧めする理由が、まさにここにあります。スクワットは、しゃがみ込んで、そこから立ち上がる動作を繰り返します。非常に単純な運動ですが、この動きは、人間の動作の中でも基本中の基本の動きです。

ハイハイしていた赤ちゃんは、まず立ち上がろうとします。歩き出すのは、立つことが前提の運動です。赤ちゃんが立てるようになるというのは、極めて大事な瞬間なのです。高齢になり、足腰が弱ってきてからも、立ち上がるという動きが重要であることは、改めていうまでもありません。

スクワットを行うことで、立ち上がるという基本の動きのトレーニングができることになり、しかも、スクワットは、同時にいろいろな筋肉が使われる点も重要です。