健康のためにはどんなことに気をつければいいのか。ウォーキングコンサルタントの犬飼奈穂さんは「ジムに通って筋トレを続けている人が増えているが、筋肉が固まった状態で体を大きく動かしても、関節や筋を痛めるだけ。まずは筋肉をゆるめ、可動域を広げることを意識してほしい」という――。

※本稿は、犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

ジムで疲れて横になる女性
写真=iStock.com/kazuma seki
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なぜ筋トレを続けても効果が出ないのか

ジムや自宅で日常的に筋トレをしている人は、「背中を十分に動かしている!」という自信があるかもしれません。チェストプレスやベンチプレスなどのトレーニングマシンは、いかにも上半身の筋肉をしっかりと動かし、鍛えているようなイメージです。

筋トレ以外にも、定期的にテニスをしたり、ランニングをしたり、ゴルフをしたりと、「しっかりと運動をしている」人は、背中の筋肉が十分に柔らかい状態なのでしょうか?

残念ながら、そうではありません。例えばチェストプレスで腕をガシガシと前後に動かし、胸や腕、背中の筋肉を大きく動かしているつもりでも、実は思ったほど筋肉が動いていないという人が多いのです。

なぜならば、筋肉をゆるめていないからです。筋肉が固い状態でどんなに激しく動かしても、筋肉の伸縮性がなく、可動域が狭まっているため思うように縮みません。筋肉の伸長もしません。場合によっては筋を痛めてしまいます。ですから、激しく動かす前にまずは背中の筋肉の緊張を取ってください。

がんばる筋トレは逆効果になる

筋肉には、力を入れているときに固くなり、力を抜いたときに柔らかくなるという性質があります。

まず心がけてほしいのは、体に力を込めて何かをがんばることを、一度やめることです。がんばる人ほど、筋肉が固くなっていることが多いからです。

かくいう私もいわゆる“スポ根世代”で、「力いっぱいがんばることが良いことなんだ!」とずっと思い込んできました。ジムや姿勢改善のインストラクターからも、肩甲骨をグッと寄せて胸を張り、がんばって「良い姿勢」をキープするよう、繰り返し指導されてきました。

でも、人間にとって、力を入れ続けることは決して自然な状態ではありません。疲れる動作や姿勢は長続きしませんし、力を込めていることが原因で体に余計な負荷をかけ、不調を訴えている人も実際に多いのです。