「食前のヨーグルト」は糖化を抑えるのに最適

そこでAGEを発生させないためには、こんがり色の食品を避ける、血糖値が急上昇しないような食べ方をするなどが効果的だ。食物繊維が含まれる野菜から食べるなど、要は「糖質がすぐさま腸に吸収されること」を防げばいい。

ここで活躍するのがヨーグルトなのだ。

「私たちはストレートに糖化を抑制する食品を探しました。数多くの食品を調べ、ヨーグルトにその作用があることがわかったのです」(八木氏)

八木氏は、ヨーグルトが血糖値の上昇を抑え、抗糖化作用をもつことを突き止めた。

「野菜類や果物に含まれるフラボノイドというポリフェノールの一種には強力な抗炎症作用があり、糖化を抑える働きがあります。それはもともとよく知られていたことでもありますが、私たちも改めて確かめました。

続いて我々の研究では、ポリフェノールがあるはずのないヨーグルトにも糖化を抑える反応があるということがわかりました。ヨーグルトを食事に取り入れることで血糖値が上がりにくくなるのです」

上ずみ液(ホエイ)は捨ててはいけない

八木氏らが▽米飯のみ▽野菜サラダ→米▽ヨーグルト→米という3パターンで食後血糖値を比較したところ、「ヨーグルトと米」の組み合わせは「野菜サラダから先に食べる」食事法と同等以上に、食後の血糖値を下げることがわかった(図表2)。食事は、「野菜から」だけではなく「ヨーグルトファースト」でもいいということだ。

出所=『老けない最強食

なぜヨーグルトに血糖値を下げる作用があるのか。

「ヨーグルトは、牛乳などのミルクに乳酸菌や酵母などを添加して発酵させた食品です。乳酸菌は乳糖を分解して“乳酸”という物質を作りますが、これには胃酸分泌ホルモン(ガストリン)を抑える作用があります。そのため食べたものを胃から送り出すスピードが落ち、結果的にゆっくりと小腸に移動するので糖の吸収がゆるやかになり、血糖値の急上昇を防ぐのです。

また、もう一つ理由が考えられ、ヨーグルトの上ずみ液(ホエイ)中に含まれる成分に、消化管ホルモンのインクレチンに働きかける作用があります。インクレチンはインスリンの分泌を促進するので、血糖値が下がるのです」(八木氏)