ウクライナがEUに加盟できない理由

ウクライナのような汚職まみれの国は、EUに加盟することはできない。汚職の撲滅ぼくめつが加盟の条件だからである。

ウクライナ戦争が、オリガルヒの弱体化のみならず、汚職構造の破壊までももたらすかどうかは、まだ分からない。

コメディアンだったゼレンスキーは、汚職と戦うために高校教師が大統領に昇りつめる成功物語のドラマ「国民の僕」の主人公を演じたが、2019年の大統領選で国民は実際に彼を大統領に選んだ。それほど政治の腐敗がひどかったということである。

ゼレンスキー政権下でも汚職が続いている

そのゼレンスキー政権下で、まだ汚職が続いていることが問題であるが、2月1日、当局はオリガルヒなど疑惑がささやかれている人物の家宅捜査を行った。

まずは、合金鉄、石油製品、金融、マスメディアなどの分野で広範な事業を手がけるプリヴァト・グループの創立者、オリガルヒのイーホル・コロモイスキーである。

彼は、親米派であるだけに、ゼレンスキーの盟友であった。彼の所有するテレビ局が、ゼレンスキー主演のドラマ「国民の僕」を放映し、大統領への道を準備したのである。

2014年3月には、反露派のコロモイスキーはドニプロペトロウシク州の知事に任命されたが、プーチンは「稀代きだいの詐欺師」と呼んで彼を軽蔑けいべつしている。

家宅捜査の容疑について、ウクライナ保安局(SBU)は、彼が所有していた石油会社と石油精製会社で10億ドルを超える資金を横領する計画が発覚したことを明らかにしている。

次の人物は、アルセン・アワコフ元内相である。家宅捜査が入ったが、容疑の詳細な内容は不明である。6年前にエアバス社のヘリコプターをウクライナが購入したこととのからみだとされている。

写真=iStock.com/Sproetniek
ヘリコプターの購入に絡んだ汚職も(※写真はイメージです)

1月18日にキーウでヘリコプターが墜落し、内相ら14人が死亡した事故調査の一環とされている。