コンビニにATM時代に即した計画

セブン銀行社長 
二子石謙輔
(ふたごいし・けんすけ)
1952年、熊本県生まれ。77年東京大学法学部卒業後、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入社。配属は大阪市の城東支店。本店調査部、新宿支店次長、秘書室秘書役、リテール企画部長などを歴任。2003年アイワイバンク銀行(現セブン銀行)に転じ、10年より現職。

2000年春、三和銀行で頭取の秘書役を務めていたとき、役員から「ヨーカドー・プロジェクト」の話を聞いた。イトーヨーカドーグループ(現・セブン&アイ・ホールディングス)が新しい形の銀行を設立するので、三和が持つノウハウで協力してほしい、とのことだった。銀行といっても、支店を構えず、現金自動預払機(ATM)網をめぐらせるだけ。ATMは、ヨーカドーグループのコンビニ「セブンイレブン」の店内などに置く計画だ。

「面白い」と思った。当時、大手銀行六行の間で、ATM網を共同で設立する構想があった。だが、主導権争いもあり、協議は滞っていた。その共同ATM構想には、関与していない。だが、ヨーカドーの計画には、巻き込まれた。それも、プロジェクトチームのリーダーを、秘書役のままで命じられる。47歳。人生の岐路が、近づいていた。

なぜ「面白い」と思ったか。そのころ、銀行の支店では、店内のカウンターにくる客よりもATMの利用だけで帰る客のほうが圧倒的に多くなり、店自体の存在価値は縮小していた。「ATM専門の銀行」というのは、まさに、時代の変化に合った着想だった。