怒りを表すと逆効果だが、落胆を示すことは驚くほど効果的
2.脆弱性を強調する
友だちづくりの基本原則である「弱さを見せる」方法はナルシシストにも有効だ。ただし、慎重を期さなければならない。弱みを見せれば捕食者が急に襲ってくることがあるからだ。
この方法を実行するうえで要点が2つある。1つは、自分にとって相手との関係が重要であることを口に出して伝えること。
もう1つは、自分の気持ちを明らかにすること。怒りを表すと逆効果だが、落胆を示すことは驚くほど効果的だ。今度ナルシシストが嫌なことを言ってきたら、こう返そう。
「傷ついたよ。そういうつもりで言ったの?」
もし彼らに救われる余地があるなら、トーンダウンするだろう。
3.コミュニティを強調する
類似性の強調と同様、この方法もまた、普通の人よりナルシシストに対して効果を発揮する。研究者たちはアルコールに喩えてこう言う。
「日ごろお酒を飲まない人のほうが、アルコールの効果が大きくなる」
同様に、ナルシシストは共感や感情移入に不慣れなので、共感を寄せられると、常人より心にぐっと刺さる。彼らに家族や友人、人とのつながりを思い起こさせよう。「共感」は、ナルシシストたちのデフォルト設定にないので、ギアを入れ直してやればいい。もしそれで彼らから肯定的な反応が得られたら、犬のしつけに倣って、「正の強化」を行う。つまり、褒めてあげよう。
多くの場合、ナルシシストたちは報いを受ける
それでは、相手が臨床レベルのナルシシストで、あなたが逃げることもできない場合にはどうすればいいだろう? 最終的な選択肢は、2つのB、すなわち「境界線(ボーダー)」と「交渉(バーゲニング)」だ。基本的に、「もう1人の自分」の正反対である取引関係に徹する必要がある。
それにはまず、境界線を確立しよう。これ以上は容認できないということは何か。そして、彼らが境界線を越えたらあなたはどうするか。毅然として一貫性のある、しかし意地悪でない態度を貫こう。
次に交渉だ。ウィンウィンの関係に集中しよう。あなたが彼らの望むものを持っていれば、ナルシシストたちはたいてい協力してくるはずだ。必ず彼らに前払いさせるようにし、つねに相場より高い価格を設定しよう。
朗報としては、つき合いが長期に及ぶと、ナルシシストは歳とともに軟化する傾向がある。長年のうちに、現実が彼らの物語をたたきのめし、それによる合併症も増えていく。
あるいは、過去に彼らに痛めつけられた人びとが、斧や松明を手に蜂起してくるのだ。ここでカルマの話を持ちだしたくはないが、非常に多くの場合、ナルシシストたちは報いを受ける。自らの幻想をそのままのレベルで永遠に維持できる者はそういないからだ。
彼らと付き合わざるを得ないなら、どうにか対処してほしい。