最近は「累進配当」を強くアピールする企業が増えている
実際、最近では、自社のホームページ上で「株主還元の姿勢」を明確に打ち出す企業が増えています。
これまでは、自社の配当性向を明かす企業は少なかったのですが、近年は「利益に対してこれだけの配当金を出します」とか「利益の何%は配当金を出します」と表明する企業が増えています。
配当性向だけでなく、「ウチの会社は配当金を下げませんよ」とか、「何年間は配当金を上げていきます」など、「累進配当」(配当金を減配せず、維持や増配すること)の方針を強くアピールする企業も出始めています。
こうした傾向からも、日本企業がようやく株主のことを見始めていることを理解できると思います。
日本企業が「株主重視」に動き始めた理由は、企業側にとっても、そうせざるを得ない事情があるということです。
現在は誰でも気軽に投資ができる時代ですから、日本人が海外企業の株を簡単に買えるのと同じように、海外の人も手軽に日本企業の株を買うことができます。
企業としては、ある程度の株価を維持して、時価総額を高めておかなければ、簡単に外資系企業などに買収されてしまう危険性があるのです。
きちんと株主に還元している企業であれば、個人投資家たちが一斉に「やめて!」と声を上げ、その阻止に力を貸してくれることも期待できます。
もう一歩踏み込めば、企業があまりにも内部留保ばかりを溜め込んでしまうと、「それを従業員に出した方がいいんじゃないの?」という議論が出てきてしまう可能性があるため、それを回避するために、「それなら株主に還元しておこう」と考える企業が増えているようにも思えます。
日本でも、ようやく「会社は株主のもの」という考え方が浸透してきましたが、「会社は社長のものであり、従業員には必要以上に還元しない」という古い体質は、まだまだ色濃く残っています。
会社は儲かっているけれども、従業員の給料は少しも増えない……という日本特有の珍現象が、それをリアルに物語っています。私たちがこの膠着状態から抜け出すためには、労働者であるだけでなく資本家となって、「労働収入」(給料)とは別の「資本収入」(配当金)を得る必要があるのです。
時期やタイミングを気にせず今すぐに始めた方がいい
この先、配当株投資の恩恵を受け続けていくためには、次の4つのポイントが大事になってくると思います。
②長期的な視点を持って、淡々と株数を増やしていく
③1つの企業に集中せず、分散して株を保有する
④自分の目標に届くまで、中途半端にやめない
配当株投資は短期間で大きな利益が得られるものではなく、最低でも10年は必要な長期投資です。
配当金を増やしていくためには、ある程度の時間がかかりますから、できるだけ早く、可能ならば今すぐにでも始めた方がいいと思います。
株価の動向などを気にする必要はなく、始めるのに適した時期やタイミングがあるわけでもありません。
20代であれば30代、40代であれば50代になってからの生活を楽しみにしながら、粛々と配当金ダルマを大きく育てていくのがベストです。
50代の方であれば、定年後の生活を安定させるために、厚生年金や国民年金の他に「自分年金」を作る……というイメージが、リアルに描けるのではないでしょうか。