現代人の健康を蝕む悪しき生活習慣

身体の状態は、日々の生活習慣の積み重ねの結果です。私たちの今日の身体の状態は、昨日までの生活習慣の表れでもあります。

善き生活の習慣を続けた人と、悪しき生活習慣を続けた人では、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病など、生活習慣病へのかかりやすさも、寿命も変わってきます。

代表的な生活習慣は、食事、運動、休養、喫煙、飲酒です。

仕事に追われ、食事が乱れ、デスクの前に座りっぱなしで運動する機会がほとんどなく、十分な睡眠も取れず、ストレスからの喫煙、飲酒がやめられない。気が付けば病気を患い、知らず知らずのうちに身についてしまった己の生活習慣を嘆く。

それが多くの真っ当なサラリーマンの現状です。

しかし、もしこれらの生活習慣が自然と正され、特にサプリメントを摂ったりしなくても、健康長寿でいられる職業があるとしたらどうでしょうか。

実は、そんな善き生活習慣を持つ職業の人々がいます。

「僧侶」です。

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平均寿命が長い職業第1位は僧侶

臨済宗妙心寺派宝泰寺住職、藤原東演さんの著書『お坊さんに学ぶ長生きの練習』によれば、1980年~82年の国勢調査をベースにした報告では、平均寿命が長い職業の第1位は僧侶(宗教家)でした。

歴史に名を残した僧侶たちの寿命を振り返ってみても、僧侶たちの長寿ぶりが分かります。

例えばお釈迦さま80歳、法然上人80歳、親鸞聖人89歳、栄西えいさい禅師74歳、一休禅師88歳と、40歳で高齢者と言われた当時の平均年齢からするとはるかに長寿です。

長生き僧侶たちが実践していたこととして藤原氏は、

1.呼:呼吸を整えること
2.食:食事の節度
3.心:心の切り替え。感情のコントロール
4.生:生活を整える。そのために毎日、決まったルーティンをセットして繰り返す
5.経:お釈迦さまの教えを、声を出して読む

を挙げておられますが、今回私が、健康長寿の秘訣ひけつとして特に強調したいことは、「食事の節度」と「心の切り替え」です。