幸せになるには、どうすればいいのか。福厳寺住職で登録者40万超のYouTubeチャンネルが人気の大愚元勝さんは「お釈迦様は地位や名誉や財宝が幸福をもたらすわけではないことを体感して、29歳の時に出家している。重要な事は、何かを得ようとするのではなく、何かを与えようと思考することだ」という――。
「お金が手に入るかどうか」という損得勘定で人生を選択している
私たちは、何かの選択をするとき、必ず自分のメリットを考えて選択します。
「痛みを避けて、快楽を得る」。それが、すべての生き物の本能であり、行動原理だからです。その本能に従って、誰もが、「幸せになりたい」と思って生きています。
では、幸せになるためには、どうすればいいか。多くの人は、お金を稼げば幸せになると信じています。
お金があれば、安心する。
お金がなければ、不安になる。
かくして私たちは、あらゆる選択・努力の方向性を、「お金が手に入るかどうか」という、損得勘定に左右されるようになります。
そして常に、「お金持ちになりたい」「もっとお金持ちになりたい」という、強迫観念にも似た思いに、とらわれるようになります。
「年収800万円で幸福度は頭打ちになる」という研究結果
一見当然のことのようです。しかし、もしこれが当たり前だとすると、私たちの幸不幸、つまり私たちの心が、お金の有無や多寡によって左右されていることになります。
そもそも、大金を手にさえすれば、私たちの苦悩は消え、幸福になれるのでしょうか。あくなき「お金」の追求は、私たちに真の幸福をもたらすのでしょうか。
必ずしも、そうとは、言えないようです。
ノーベル経済学賞受賞者の心理学者ダニエル・カーネマン教授らは、「幸福度と収入は比例するが、年収7万5000ドル(約800万円)で、幸福度は頭打ちになる」という研究結果を発表しています。