幸福のカギを握るのはお金ではない
頼りにすべきは、自分自身。
幸不幸のカギを握っているのも自分自身。
現代風に言えば、「自己責任で生きよ」とも言えましょう。
けれども、それは決して、「自分勝手に、独りよがりに生きよ」という意味ではありません。
地位や財産、神や他人など、「自分の外の存在に、幸不幸を委ねるな」というのがお釈迦さまの教えなのです。
幸福のカギを握るのは、お金ではなく、自分。
地位や名誉によって、幸不幸が決まるなら、それは、権力の奴隷です。
物やお金によって、幸不幸が決まるなら、それは、金品の奴隷です。
正しく損得勘定をしろと仏教は説く
仏教では、「全く損得勘定をしないで生きよ」とは言いません。仏教でも損得勘定はします。
むしろ、「幸福に生きたいと願うならば、正しく損得勘定をしなさい」と薦めるのが仏教です。けれども、仏教の損得勘定と、世間一般の損得勘定では、勘定するものの優先順位が違います。
なぜなら、仏教は、この世の真実の姿を正しく観察するからです。
人間は「人間」という漢字が示す通り、一人で生きているわけではありません。人との関わりを完全に絶って生きることはできないのです。
「今だけ、金だけ、自分だけ」では幸せは訪れない
ですから、「今だけ、金だけ、自分だけ」という考えに基づいて、選択・努力をしていたら、真の幸福を手に入れることはできません。
人間が、物質的にも精神的にも、豊かに暮らすためには、お金や物、人間関係、知識や情報、健康、人格の向上など、さまざまな要素が必要です。
それらの要素の中で、「お金や物」を最重要視して、選択・努力していると、どうなるでしょう。
ときに嘘をついたり、誰かを騙したり、不正を働いてまでも、お金や地位、権力などを得ようとしてしまいます。稼いだ者が稼げない人を見下したり、稼げない者が稼げる者を崇めたり、自分だけ稼げれば良いと他への思いやりを無くしたりしてしまいます。