職場でメンタル不調になりやすい人にはどんな特徴があるのか。心療内科医の鈴木裕介さんは「完璧を目指す人ほど自分をギリギリまで追い詰めてしまう。自分のポンコツさを認め、他人との競争から距離を置いたほうがいい」という――。
※本稿は、鈴木裕介『我慢して生きるほど人生は長くない』(アスコム)の一部を再編集したものです。
「本当の生きやすさ」は競争や実力とは無関係
私たちは生まれたときから、常に競争にさらされ、他者から評価されています。
家庭では、兄弟と出来の良さを比べられ、学校では、同級生と勉強やスポーツの成績を競い合い、少しでもいい学校や会社に入るため、試験でほかの受験生と競い合い、会社に入れば出世競争や上司からの評価が待っています。
特に最近は、「実力主義」を謳う企業も少なくありません。
実力主義と聞くと、一見平等な気もしますが、それは「たえず競争し続けなければならない」ということでもあります。
常に競争と評価にさらされているうちに、人の心の中には自然と「競争に勝たなければダメ」「トップでなければ価値がない」といった価値観が植えつけられます。
競争に勝ち、高い評価が得られたときには、自尊心や承認欲求、名誉欲が満たされますが、世の中には必ず「上には上がいる」し、心身の状態だって、いいときばかりとは限りません。
どんな超一流選手でも、永遠に勝ち続けることはできませんし、どれほど強く見える人でも、人生のどこかで必ず「弱者」になります。
そして、競争に負け、評価が下がると、「自分はダメな人間だ」「自分には価値がない」などと思うようになります。