「競争」との関わり方を見直そう

ちなみに、お金や名誉、肩書き、家や車などの所有物のように、他人との比較によって満足感が得られるものを「地位財」、自由や健康、愛情など、他人と比べなくても満足感が得られるものを「非地位財」といいます。

不安
写真=iStock.com/AH86
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このうち、競争によって手に入れられるのは地位財だけであり、非地位財は、競争や評価とは無縁のところで得ることができるものです。

そして、「豪邸を建てた」「高級車を買った」といった地位財による幸福感は、非地位財による幸福感と比べて長続きしないことが明らかになっています。

地位財と非地位財は車の両輪みたいなもので、地位財によって手に入る短期的な幸せも、もちろん否定はしません。

ただ、人を長期にわたって本当に幸せにしてくれるのは、非地位財によって手に入る満足感です。私は、「競争の世界との関わりを一度見直し、自分にとって適切な距離で関わること」は、幸せに生きるための、かなり重要な要件だと思っています。

競争をどれだけ楽しめるかは人によります。「たとえ負け続けても、勝負ごとが楽しくて仕方がない」という人は、好きなだけ関わればいいでしょう。

しかし、あなたがそういうタイプでないならば、ときには競争を楽しんだり、他人からの評価に喜んだり悲しんだりすることはあっても、それらはあくまでも「人生のスパイス」程度だと考え、自分自身の価値を判断する基準にしないほうが賢明です。

「自分の中のポンコツさ」を愛する

そのうえで、競争や評価とは無縁な人または世界とのつながりを大事にすること。

さらに、自分の中の「欠損している部分」をそのまま受け入れ、愛してくれる人と出会えたら最高です。「欠損している部分」というのは、「ポンコツな部分」「いびつな部分」のことであり、「美しさ」や「優秀さ」なんかと違って、他人との競争の対象になりにくい部分でもあります。

競争の世界から適度に距離を置き、自分の中のポンコツさ、いびつさを面白がり、愛してくれる人と出会い、自分でも、自分の中のポンコツさ、いびつさを認めることができるようになったとき、人はようやく「完璧でなくても優秀でなくても競争に負けても、自分はこれでいい」「自分は自分であって大丈夫」という感覚を持つことができ、自分の物語を生きることができるようになります。