「自己肯定感」を高めるにはどうすればいいのか。福厳寺住職でYouTuberの大愚元勝さんは「自己肯定感をむりに高くする必要はない。高くても、低くてもいい。ブッダは2600年前のインドでそのことを説いていた」という――。
女性と桜
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「自己肯定感が低い自分をなんとかしたい」

最近、「自己肯定感」という言葉を聞く機会が増えてきました。

「自己肯定感」を高めるといった本がベストセラーになっていたり、「自己肯定感」を高めるセミナーやカウンセラー養成講座が人気を博していたりするようです。

私はYouTube上で、人生についての悩みに、仏教の知恵で答える「一問一答」という、悩み相談番組を配信しているのですが、そこにも時折、「自己肯定感が低い自分をなんとかしたい」という悩みが届いたりします。

一方で、この「自己肯定感」に漠然とした違和感や息苦しさを覚えている人もいるようです。

一体「自己肯定感」とは何でしょうか。
この言葉は、どこからやってきたのでしょうか。
自己肯定感なるものが低いと、本当に人生がうまくいかないのでしょうか。

ブームの裏にはそれで儲かる人がいる

ものごとには、必ず始まりがあります。

それがブームになるというからには、そのブームのきっかけとなる出来事があったり、もっと言えば、ブームを仕掛けた人がいるものです。

もともと「自己肯定感」とは、self-esteem(セルフ・エスティーム)という心理学用語の訳語だといいます。

けれども、このセルフ・エスティームには、自尊心・自己肯定感・自己評価など、さまざまな訳語があります。

この中で最近、「自己肯定感」が特に注目を集めるようになった理由は、この言葉を特別に取り上げ、流行らせることによって得をする人たちがいるからなのです。

昨今のSDGsムーブメントも同じです。

貧困をなくそう、飢餓をゼロに、すべての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに、ジェンダー平等を実現しよう、安全な水とトイレを世界中に……といった一見目新しく見えて、古くからある人類の問題解決への目標が、SDGsというネーミングのもとに、瞬く間に広まって、SDGsマークを掲げる企業や、バッジをつけた人が増える理由は、それを意図して広めようとした人たちがいるからです。

そして、なぜそうするのかといえば、それで得をする、儲かる人がいるからです。

けれども、私は別にそれが悪いといっているわけではありません。古今東西、それがトレンドやブームの実態であり、トレンドやブームが、より良い方向に社会を転換させることだってあるからです。