これからの投資戦略とリスクコントロール
株価は1年先の未来を織り込むと考えると、2023年後半には現在の景気後退懸念は落ち着いていると想定できます。そのころには、利上げやQTのインパクトを株価が完全に織り込み切っていると考えられるからです。となると、2022年後半のリセッションの可能性はそこそこ高いながらも、2022年後半から株価が落ち着きだすと考えられます。
したがってここからの投資戦略としては、もし市況が急落した場合は恐れずにS&P500インデックスに投資する、もしくは今後成長が期待できそうなセクターの優良銘柄などにコツコツと投資していく戦略が報われる可能性が高いとみています。
個別株を選ぶ際は、ディフェンシブに「守りながら攻める」ならヘルスケア関連が投資しやすい分野になりそうです。特に保険部門のユナイテッドヘルス(ティッカーシンボル:UNH)や、動物医療において世界1位のゾエティス(ティッカーシンボル:ZTS)などは、投資妙味がありそうです。ただしユナイテッドヘルスは、中間選挙において下院で共和党が過半数を取得した場合、オバマケアの廃止・縮小への懸念で弱含みになる可能性も頭に入れておいてください。
ハイテク関係では、米政府の政策に左右されない強さ、キャッシュフローや今後も続く市場寡占性から、マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)やグーグル(ティッカーシンボル:GOOGL)に投資妙味があると考えています。
もちろん今後の動向次第で投資妙味は変わってくると思いますが、市況が下落している今の状況において、第2四半期の決算とガイダンスを見ながら、底堅い銘柄を選好していくことをおすすめします。
「底値当てゲーム」には参加するな
2022年後半が転換点にならない可能性ももちろんあります。米国株投資家の皆さまには、リスクを取りすぎないことを忘れずに、慎重に投資を行ってほしいと願っています。この局面で一番危ないのが、もし株価が上昇したら取り残されてしまうという感情=FOMO(fear of missing out、フォーモ)から、リスクを取りすぎてしまうことだと思っています。
今は誰もが難しい状況です。「底値当てゲーム」に参加するのではなく、大きな下落が発生した時に、コツコツと着実な投資を積み増して、今後の長期投資の基盤を作るという意識で、慎重に投資を継続していただければと思っています。