※本稿は、鎌田恭幸『社会をよくする投資入門 経済的リターンと社会的インパクトの両立』(NewsPicksパブリッシング)の一部を再編集したものです。
人間の脳は「損失を避けたい」と感じやすい
投資が「社会にとっていい投資」になるかどうかは、買う人の選択の理由のなかにある。選択した投資先が、社会によい影響を与える事業に取り組んでいるのであれば、多くの人がそれを知り、応援することが社会によい影響の輪を広げることになる。大切なことは、あなたが「なぜ投資をするか」だ。どのような「期待」や「思い」を懸けるかだ。
理論上、株式投資は、長い目で見れば会社の価値が高まれば、それに連動して投資したお金は増える傾向にあるので、短期的な値動きを心配する必要はない。
しかし、社会にいい投資に取り組んだとしても、株式市場で株価が乱高下するとどうしても不安になってしまうのも人の心理だ。特に人の心理とは面白いもので、利益が出たときよりも、一時的にでもお金が目減りすることの心理的な影響の方がずいぶんと大きい。心理学の世界では、こうした心理的作用を「プロスペクト理論」という。
そもそも人の脳は、儲けるよりも損失を避けたいと思う気持ち、利益が出たときのよろこびよりも、損をしたときの苦痛のほうがより大きく感じるようにできているのだ。
そうしたこともあって、理屈では「投資は預金よりも、効果的にお金を増やす方法だ」とわかりながらも不安が付きまとうのは、このような脳のはたらきが影響しているからかもしれない。
成功する投資家が大切にする「8つのカギ」
僕が多くの投資家を見てきたなかで、こうした心理的作用を克服して、投資で成功する人は、総じて次の8つのことを大切にしている。「社会をよくする投資」からはいったん離れて一般論になるが、あらゆる投資に通ずる「成功のための8つのカギ」に触れておきたい。
「8つのカギ」は次の通りだ。
②株価(価格)ではなく価値に投資する
③経済法則を利用する(複利と分散)
④感情を排除する
⑤シンプルである
⑥予測しない
⑦投資に期限を設けない
⑧投資観を持つ
1つ1つ見ていこう。