リセッションに突入する確率は40%ぐらい

リセッションが到来する確率については、「2022年末もしくは2023年上期に来る可能性が40%ぐらい」と考えればいいかと思います。それを決めるのは、今のところアナリストたちが楽観的に予想している米企業の売上高純利益率がどうなるかでしょう。実際の決算での数字がアナリストの予想を下回った場合、現在の株価の根拠は弱くなりますから、2022年後半のリセッション入りというシナリオが現実味を帯びてきそうです。

中間選挙に関しては、どういう結果が出ようともマーケットは動揺すると思います。民主党が敗北すれば、大統領府と議会のねじれを嫌気して株価が一時下落するかもしれません。一方で、共和党が上院・下院の両方で過半数を取った場合、逆に今後の期待感からマーケットが勢いづく可能性もあります。これは直前まで判断が難しいと思います。

8月のジャクソンホール会議に注目

これらを総括していくと、状況が変化するのは、2022年8月に開かれるジャクソンホール会議以降と考えます。ジャクソンホール会議は毎年同月に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれる経済シンポジウムで、世界各国から中央銀行や政治家、学者などが参加します。

7月の利上げで、今後のFRBの利上げの方向性はある程度確定しているでしょう。そして8月のジャクソンホールで、アメリカをはじめ世界各国の金融政策の方向性が、足並みをそろえる形で打ち出されると筆者は考えます。

この時点で、世界中で進行中のインフレに対し、各国がある程度自信をもって沈静化できると打ち出せれば、インフレ対策には一つのめどが立ったと言えます。アメリカにとって残された問題は、QTおよびインフレによる企業決算の減速と、それによって導かれる景気後退の可能性です。ただ7月からの決算に、第3四半期(Q3)以降の業績悪化がしっかり織り込まれた場合は、その後の決算は少なくとも横ばい、あるいは上昇していくことが期待され、株価もそれを織り込んで上昇していく可能性があります。もちろん、企業によってその回復具合は異なってくるとは考えます。

米国株の展望まとめ
インフレ……ピークアウトが前提条件。
利上げ……2023年中に利下げに転じる可能性も。
QT……2023年中旬までに状況が見えるかも。
リセッション確率……これからの企業業績の動向次第。
今後の展望……8月のジャクソンホール会議がターニングポイント。悪くても2024年には景気は回復基調か。ただし、1970年の株価急落時と同じように、2022年の後半から急激に回復するかは疑問。2022年中は慎重な投資姿勢がベターと考える。