秋の中間選挙の影響は?

5.アメリカの中間選挙

11月8日にアメリカの中間選挙がやってきます。中間選挙とは、4年に1度の大統領選挙の中間の年に行われる連邦議会選挙のことです。中間選挙では、上院の議席の3分の1(2022年選挙は100議席中34議席)、下院の全議席(435議席)が改選されます。

アメリカの選挙のキャンペーンバッジ
写真=iStock.com/Liliboas
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中間選挙の年は株価が下がりやすく、そしてその翌年から株価が上昇するというアノマリー(理論的には説明できないが、経験的に市場でよく見られる規則性)は確かに存在しています。

ただ今回はアノマリーよりも、各国の金融政策、インフレによる企業業績の悪化、さらに史上最大の金融緩和からの史上最大の規模かつ最速ペースでの金融引き締めに焦点を当てて、慎重に投資を継続すべき局面だと思います。

現在民主党は上院と下院で過半数を獲得していますが、直近のインフレ対策の失敗などが響き、アメリカの予想サイトでは少なくとも下院で過半数を失う可能性が高いとみられています。筆者も同じ意見で、そうなれば大統領は民主党、議会で主導権を握るのは共和党という「ねじれ」が発生することになります。今でさえほとんど政策が機能していないのに、その状況にさらに拍車がかかることになりかねません。

今後の展望を考えてみると…

これまでみてきた米市場を取り巻く状況をもとに、今後の展望を考えてみましょう。

インフレは、ピークアウトする可能性が出てきています。6月末にはそれを先行して織り込む形で、米国債の短期金利・長期金利がともに急落しました。ただ、今後の景気後退を織り込んでヘッジ的に債券が買われたとも考えられるので、これで完全にインフレがピークアウトしたと考えるのは時期尚早かもしれません。7月の利上げ後の状況をみて、ピークアウトをマーケットが完全に織り込めているかどうかを判断したいと考えます。

次に利上げに関してですが、7月の利上げ以降、今度は2023年に予想される利下げをマーケットが織り込めるかどうかです。インフレはピークアウトしたという認識の下に、1年後の利下げは実行される見通しが高いと市場参加者の大半が考えるようになれば、マーケットの動きが底堅くなることも考えられます。

QTはFRBが予定したとおりのスケジュールで進むと思います。もしリセッションになった場合はこのスケジュールに変化が加わるかもしれませんが、ほぼ既定路線として考えておけばいいかと思います。となると、2024年末には引き締め策がいったん終了するだろうということを頭にいれておくべきでしょう。