国籍の「ない」人間をあぶりだすのは難しい
ほかにも、ロヒンギャなどのように民族的な差別の結果、無国籍となった人々、そして行政手続きの不備など、無国籍者が発生する原因は実に多岐にわたる。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、主に難民の支援をしていることで知られているが、無国籍者の支援も活動範疇に入れている。
UNHCRの調査では、世界には無国籍者が、2016年は1000万人、2018年は390万人、2020年は420万人いると推計している。この数字からも分かるように、統計の取り方に差異があったり、データの集計が徹底しておらず、正確な人数は判明していない。「無い」ものを見つけたり、証明するのは至難の業なので当然といえば当然だ。
また、UNHCRは現在、2024年までに無国籍者をなくすためのキャンペーンを行っている。そのためにも、1954年の「無国籍者の地位に関する条約」と1961年の「無国籍の削減に関する条約」への締約を各国に呼び掛けている。ちなみに日本にも無国籍者は暮らしているが、日本はこのいずれの締約国でもない。