転職サイトは「広告」として進化してきた

3 転職サイトやクチコミサイトに「真実」が書かれているわけではない

転職サイトや転職クチコミサイトにも、認知バイアスがかかっています。それは、転職サイトには企業による「正しい内容」が書かれていて、転職クチコミサイトには、その会社で実際に働いた人による「本音」が書かれているというものです。

転職サイトは、とりわけ日本においては「広告」として進化してきました。これはリクルートが、かつて味気ない文字だけだった求人情報を、もっと魅力をアピールできるようにメディアとして育ててきたからです。

アピールするのが目的である「広告」なのだから、掲載側にはできるだけ閲覧者を惹きつけたいという心理が働きます。つまり、「盛る」ということです。

結果として、入社してみると配属が想定したものと違ったり、入社前に聞いていた職務とは微妙に違うものに変わったりといった、期待と現実とのギャップを生みだしています。

一方、欧米では、求人情報はこれとは真逆の進化を遂げました。広告ではなく、あくまで「契約書」としてジョブディスクリプションを進化させていったのです。欧米では情報表現のフォーマットとしての考え方が、日本とは逆なのです。

これは欧米社会が日本よりもずっと厳しい「訴訟社会」で、雇用前に合意した職務内容を入社後に逸脱したりすれば、いとも簡単に訴えられ、かつ敗訴する可能性が高いという社会的背景から来ています。

かといって、転職クチコミサイトに真実が書かれているかというと、そういうわけでもありません。

人間はネガティブな気持ちになると筆が乗る

一般的に、クチコミサイトに何かを書き込む人の動機やモチベーションはどこからやってくるのでしょうか。今その会社で活躍している人が、クチコミサイトに会社についてのコメントを書き込む動機が、それほどあるとは思えません。

人間は一般的に、何かネガティブな気持ちになったときほど筆が乗るものです。SNSや大手メディアのコメント欄には、誹謗中傷の書き込みが日々流れていますが、それが人間心理のメカニズムなのです。

ですから、転職サイトやクチコミサイトで「真実」を見つけるという発想は危険です。そうではなく「あえてネガティブな情報もチェックしておこう」という気持ちで使ってください。情報の仕入先としては、あくまでサブソースです。

もちろん、僕がここで話している内容も、あくまで「森山大朗という一個人の意見」であり、ひとつの方法論に過ぎないという程度に考えておいてくださいね。

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