誰でも面白い発想ができる

私はアートの新たな魅力を提案する「PROJECT501」を主催し、現代アートの企画展示や、現代アートを鑑賞するワークショップを開催しています。そうした経験から感じるのは、本来は誰でも自由な発想力をもっているということです。とくに、小学3、4年生くらいの子どもたちに現代アートを観てもらうと、大人からは出てこないようなユニークな発想にいつも驚かされます。

でも、6年生くらいになると、あまり意見が出ず、誰かが正解を言ってくれるのを待つような雰囲気になりがちです。これは、成長するにつれて「このときはこう振る舞うべき」といったパターン認識が身につき、間違いを恐れるようになることが影響しているのかなぁと思っています。

撮影=西田香織

パターン認識は、社会生活を円滑に送るうえで役立つ面も多々あります。ありうる全ての可能性を考えて、妄想し続けて生きていくというのは、少し非現実的ですよね。ただ、「他の選択肢もあるかもしれない」と考えながらパターンに沿った行動を起こすのと、「これが唯一のやり方だ」という固定観念をもつのでは、大きな違いがあります。とりあえずは正しいとされている振る舞いをするとして、頭の片隅で自由な発想をする余地も残しておけば、もっといい選択ができる可能性が広がるでしょう。