この廃棄金額の削減が、加盟店オーナーの利益に直結するため、店舗の「持続性」の観点からも改善するべき課題になるだろう。各コンビニチェーン・トップは、「意見交換」を経て「行動計画」を発表し、加盟店とチェーン本部とのコミュニケーションを活性化させ、既存店強化の方針を示す格好になった。

移り変わる「世間の声」は聞き入れるべきか?

前述した東大阪市のセブン-イレブン加盟店が、チェーン本部の同意なく深夜帯を閉店にした件について、現場レベルでは双方に言い分はあるだろう。マスコミでは報じられない細かな話もたくさん聞こえてくる。ただし結果として、深夜休業の是非に関するSNSや匿名のコメントを読む限り、加盟店の主張を世論が支持したことは事実であろう。

その「24時間営業問題」に、セブンが慎重な構えを見せたのに対して、当事者ではないファミリーマートとローソンが、いち早くチェーンの方針を表明している。危機対応のセオリー通り、迅速に「見直し」の検討に入り、具体的な実験にも積極的な姿勢を示したかのように見える。

その後、東大阪市のセブン-イレブン加盟店は、「日曜日休業」をチェーン本部に通告している。本部は休業した時点で契約を解除すると書面で回答し、撤回するように協議を求め、加盟店側も見送る意向といった報道がされた。

この報道に対しては、深夜営業に同情的だった論調が反転して、加盟店オーナーに厳しい言葉も投げかけられている。本部も加盟店も意外だったかもしれないが、世論の移り気を認識するには十分すぎる反応であったかもしれない。

あの居酒屋チェーンの理念「365日24時間死ぬまで働け」

ただし世論への対応を誤ったために、チェーンの存続が危ぶまれる事態にまで発展した事件を、私たちは「目撃」している。すでに会社側が法的責任を認め、和解が成立しているので、屋号は出さないが、青年実業家として一世を風靡ふうびした、カリスマ社長率いる居酒屋チェーンである。

連日の残業により、心身ともに疲れ果てた新入社員の女性が、2008年に過労自殺した事件が起こった。当初、経営者が無理解な姿勢を示したため、世論を敵に回し、店の営業にも大きな打撃を与え、大々的に看板を代える事態にまで発展した。

同チェーンの経営理念集に記されている「365日24時間死ぬまで働け」は、週刊誌などでたたかれた。今でこそこのフレーズに、一般的な感覚なら拒否感が先に立つであろうが、89年にドリンク剤のCMに使用された「24時間戦えますか」は、その年の流行語に持ち上げられている。もちろん24時間を茶化した側面もあるが、当時は少なくとも拒否反応はなかったはずだ。