加盟店向けアンケートで明らかになった「オーナーの本音」
経済産業省はそのような実態を調査するため、「24時間営業問題」が議論になる直前の18年の暮れから19年にかけて、コンビニ加盟店に向けた大規模なアンケート(意識調査)を実施していた。
騒動を経て、翌4月になると、当時の経済産業省の世耕弘成(せこうひろしげ)大臣が、コンビニチェーン本部トップに「意見交換」を求める異例の展開となった。同月、チェーン本部から一斉に「行動計画」が発表される事態となる。前述した通り、コンビニチェーン大手が出店を抑制して、既存店の活性化に注力すると発表する。コンビニの土台が揺れ動いた。
世耕大臣が最も注視したのが、コンビニの「持続性」である。社会のインフラ、生活のライフラインと呼ばれ、人々の日常生活に密着したコンビニは、単に弁当や飲料、日用雑貨を販売しているだけではなく、宅配の受け取りや、その他サービスの提供、さらには災害時の拠点となるなど、非常に大きな役割を担っている。
ところが、経産省が実施した加盟店オーナーの意識調査を、4年前に実施した同じ調査と比較すると「持続性」の観点から、明らかに赤信号が灯っている。加盟店の環境が厳しくなっているのである。
深夜帯は「募集しても来てくれない」
調査対象は日本フランチャイズチェーン協会加盟の8社の加盟店オーナー。加盟店オーナーの本心がストレートに聞けるように、回答の回収や送付にチェーン本部が一切関わらないようにした。調査を担当した経済産業省の担当官は次のような問題意識を持って臨んでいる。
「人材不足が大きな社会的な課題となっている。中でも長時間営業をしているコンビニ加盟店は、人手不足と、それに関連した人件費の高騰が、かなり負担になっているのではと考えた。前回の調査から4年を経過する機会に、どのような状況にあるのか、直接オーナーに聞いてみたいと思い実施した」
どのような結果になるのか、ある程度は想定したうえでの調査なのだろう。
人手不足に関して、「従業員が不足している」と回答した割合は、4年前は22%だったのが、61%に上がった。確かに全国の有効求人倍率は、08年のリーマンショック以降は右肩上がりで、14年の1.11から18年は1.61と上がり、日本全体で求人が困難になってはいる。
理由を見ると「募集しても来てくれないから」「必要な一部の時間帯に勤務できる人が少ないから」が上位にある。その集まらない時間帯の多くが深夜帯である。法令で定められた深夜割増を出しても集まらないのだ。