深夜休業には「売上減」以上のマイナス効果が

こうした空気の変遷を、コンビニチェーン本部の経営層は知っているし、居酒屋チェーンの事例から、危機管理の対応を誤れば加盟店の売上に打撃を与える事態にまで発展する可能性を学んでいるはずである。「24時間営業問題」に関して、「スピード感」を持った対応は、そういった背景があるのではないか。

梅澤聡『コンビニチェーン進化史』(イースト新書)

筆者は時短営業を一概に否定する立場にはない。小売業は立地産業である。近年は近隣に複数店を構えるオーナーが増加している。A店は深夜帯に休業するが、近隣のB店は営業すると時間をかけて告知すれば、商圏の顧客は納得するのではないか。あるいは朝昼に客数が集中し、夕方以降は客数が激減する立地などは、見直しの対象にしてもよいかもしれない。

しかしながら、深夜帯の休業は、そろばんを弾いて想定した「売上減」以上のマイナス効果が憂慮されている。深夜帯の休業が昼間の売上減を招くことは、よく知られているが、果たして24時間営業を「当然」としてきた世代にどう影響を及ぼすのか、チェーン全体のイメージをどう変えてしまうのかは、検証するのに時間を要するであろう。

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