コンビニの定番「鶏唐揚げ弁当」は、同じチェーンでも地域によって味付けが違う。流通ジャーナリストの梅澤聡氏は「今や、コンビニの地域限定メニューの割合は8割近くを占めている。こうした味付けの変化は、ご飯やおでんにも生かされている」と指摘する――。

※本稿は、梅澤聡『コンビニチェーン進化史』(イースト新書)の一部を再編集したものです。

日本のフライドチキン
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地区MDの仕事は「食習慣や味覚、生活習慣を把握する」

大手コンビニチェーンが全国に店舗網を築くにつれて、地域開発商品の役割が重要度を増してきた。ベースとなるタレやつゆ、米飯に添える漬け物まで、地域で好まれる味が確固としてあるはずだ。

かつてセブン‐イレブンで商品本部長に就いていた池田勝彦いけだかつひこは、その著書の中で次のように記している。

メーカーと協力態勢を組み、マーチャンダイジングプロセスにのっとって開発された本部推奨の商品があるとすれば、それをベースに、それぞれの地区MDが、その地区のお客さまが好む味覚に応じて、レシピを修正して販売する。それが最も理想的な形だろう。(中略)

地区MDにとって最も重要な仕事は、その土地の食習慣や味覚、生活習慣をきっちり把握するということになる。(『コンビニの店舗経営と商品開発の鉄則』池田勝彦)

大切なのが本部MD(マーチャンダイザー)と地域MDが別個に動くのではなく、相乗効果を生み出せるようにすることだ。例えば、本部MDが天ぷらを商品開発して全国展開に移すときに、つゆで食べる地域だけでなく、塩や、場合によってはソースで食べるところもあることを念頭におく。同じうどんでも、硬い麺を好む地域もあれば、柔らかい麺を好む地域もある。そうした情報をつかんで、工場のレシピを変更していくのだ。