顔は頭に浮かんでいるのに、相手の名前が出てこない――。そんな経験は、多くの人にあるはずです。もちろんビジネスの場においては、相手に対して礼を失することになるだけでなく、大事なビジネスチャンスを逃してしまうことにもつながります。人の顔や名前のほか、趣味や関心事なども併せて覚える方法を、記憶のスペシャリストが教えてくれました。

「きちんと覚えよう」と思うだけで、覚えられるようになる

人の顔と名前を覚えられない、顔と名前が一致しない原因にはいくつかのパターンが考えられます。ひとつは、そもそも相手に関心を持っていないということ。関心が薄く覚えようとしてない人のことを覚えられるはずもありません。なぜなら、脳の記憶のメカニズムは、興味関心や好奇心が働いたときに活性化するからです。

でも、ビジネスパーソンであれば、「仕事でかかわる人だし相手に対する関心は持っている。でも覚えられないんだ!」と反論したくなった人もいるかもしれません。そういう人は、おそらく記憶に苦手意識を持っていて、「どうせ自分には覚えられない」と思っているのです。

(構成=岩川悟、清家茂樹 図版作成=木村友彦 撮影=玉井美世子)