以前より、特に語学学習などでは「聴覚学習」という手法が使われてきました。オーディオブックが登場したいまなら、通勤中にビジネス書を聴くなど時間を有効に使う人も増えていることでしょう。実際、聴覚を活用することは、学習や記憶にとって有利に働きます。その仕組みと聴覚を使った効率的な記憶術を、記憶のスペシャリストが解説してくれました。

聴覚を使うことが記憶にとって有利に働く仕組み

脳の「大脳皮質」という部分は、目、耳、鼻といった感覚器のほか、体のあらゆる部分をモニターしています。しかし、それらの部分のすべてを同じようにモニターしているのではありません。

もっとも重点的にモニターしているのは、手と指。それに、唇、舌、耳が続きます。すなわち、手、指、唇、舌、耳は、他の部分と比較するとより多くの刺激を脳に与えているということです。

(構成=岩川悟、清家茂樹 図版作成=木村友彦 撮影=玉井美世子)