※本稿は、星友啓『なぜゲームをすると頭が良くなるのか』(PHP新書)の一部を抜粋・再編集したものです。
「ドラクエ」は問題解決のトレーニング
1986年に発売されて以来、日本だけでなく世界のゲーム界を席巻した「ドラクエ」(ドラゴンクエスト)をご存じの読者も多いのではないでしょうか?
ゲームの中のキャラクターに扮して、ストーリーに沿って問題解決をしていく「ロールプレイングゲーム」(RPG)の代表です。
限られた情報から、使用可能なツールを駆使して難しい課題にチャレンジしたり、異なる能力を持った複数のキャラクターを操って敵を倒す。
ゲームの中に、「問題解決能力」がアップするトレーニングの要素が、ふんだんにちりばめられています。
これはRPG以外の他のゲームジャンルにも言えることです。
たとえば、「テトリス」や「キャンディークラッシュ」のように、パズルを自分のやり方でクリアしていく「パズルゲーム」。ルールに従いながら、限られた時間の中で判断を下して、パズルを解いていくゲームのジャンルです。
それから、「信長の野望」「三國志」など、戦略を立てたり、実行して目的を達成していく「ストラテジーゲーム」。自分の持つリソースや相手の強さなどを考えながら、次の一手を決断し、状況に応じた戦略を立てていく必要があります。
脳科学研究が証明したプラスの効果
RPGだけでなく、パズルゲーム、ストラテジーゲームにも、問題解決能力をアップさせる効果があることが確認されています(※1)。
あらかじめ決められた答えに向かって一歩ずつ系統立てられたカリキュラムで学びを進めていくのではなく、決まった答えの存在しないオープンエンドな問題に取り組みながら、一進一退しつつ自分なりのソリューションにたどり着く。
ゲームの中でそうした体験を積み重ねることができ、それが問題解決能力のアップにつながるのです。まさにゲームは、私たちが現実世界で必要とする問題解決の能力を、バーチャル空間でシミュレーションしながら、トレーニングさせてくれるのです。

