同僚や取引先に好かれる人は、何が違うのか。『いつも好印象な人がしている言葉の選び方』(あさ出版)を書いた松はるなさんは「一緒に仕事をしていて気持ちのいい人は、言葉の選び方が違う。相手の懐に入る伝え方ができるからだ。仕事を円滑に進めるために、ぜひ参考にしてほしいフレーズがある」という――。(第3回)

言葉の選び方で仕事がスムーズになる

仕事の場面でこそ「選ぶ言葉」が重要であると感じる人も多いのではないでしょうか? あの人と働くと「楽しい」「成果を出せる」「目標達成が叶う」など、言葉の選択次第で仕事が円滑に進んだり、職場環境が良くなったり、業績が上がったりと、最も言葉による変化を実感しやすいのが仕事の場面だと言えます。

仕事をお願いするとき、相手が気持ち良く仕事できる言葉を選べると相手のモチベーションを上げることができますし、曖昧な表現を避けて相手にわかりやすい表現で伝えられれば、仕事をスムーズに進めることができます。また、注意するときも、前向きな言葉で伝えられたら、その場が良い雰囲気に変わっていくものです。

例えば、命令口調で「これを必要な枚数分、コピーして資料作成してくれる?」と曖昧な内容で頼む人と、丁寧な口調で「仕事が正確なAさんだからお願いしたいんだけど、このデータを年代別にまとめて見やすいグラフを作成してもらえる? できたら100部コピーして、クリップで止めておいてもらえると助かります」と、相手を尊重した上で具体的な数字とともにお願いできる人。

前者は頼まれた相手が「命令されている」と感じる上に「必要な分の枚数」を「これくらいですか?」と再確認する手間が発生してしまいます。後者は頼まれた相手が認められていることを実感でき、「役に立ちたいな」とプラス思考に前向きに思えます。また、指示がわかりやすく、すぐにスムーズに仕事に取りかかれます。

仕事で会話する人
イラスト=北村友紀

催促するのではなく「行動を促す」

あなたが一緒に仕事をしたいと思うのは、どちらの人でしょうか? きっと、後者の人だと思います。ほんの少しの心がけで、より良い言葉選びは可能です。仕事の場面でこそ、言葉を適切に使って、言葉の力を最大限に活かしていきましょう。

【×】 早く始めましょう
【○】 AとB、どちらから先にやりますか?

会議で本題になかなか入らないとき、「早く始めましょう」と伝えたり、仕事が遅いなと感じたときに「スピードアップしましょうか」と催促したり。そんなとき、ストレートに伝えてしまうと、間接的に責めているような印象にもなりかねませんよね。

そうなると、相手の仕事への士気が下がる、落ち込むなどマイナスな影響を与えてしまうことにもなりかねません。

「早くしてほしい」と催促せずに、相手が自発的に動きたくなるようにするためには、相手に選択肢を与えて行動を促す言葉で伝えましょう。