イラストレーターの森川弘子さんは夫と小学生の娘の3人暮らし。大阪市内にある家賃6万円の賃貸住宅に住みながら、世帯年収が年間約150万円という生活を15年以上も続けている。しかも単なる節約生活ではない。森川家では、年に1度は必ず2週間以上の海外旅行に行く。これまで家族旅行で行った国はフランス、イタリア、スイスなどヨーロッパを中心に11カ国。今年は海外ではないが、1カ月間、屋久島のビーチで家族揃ってリゾートを満喫した。
そうした生活を森川さん自身が描いたコミックエッセイ『年収150万円一家』は、シリーズ3冊で9万部超を発行。「印税で金持ちになったんじゃないか」と聞かれることもあるが、森川さんは「一時的に収入が増えただけです」と話す。
「もともと収入が超不安定ですから、印税もできるだけ貯金したので、暮らしぶりはちっとも変わりません。夫はSF作家なんですが、5年間、本が1冊も出ないこともありました。私の仕事も不安定で、世帯年収が300万円の年もあれば、ほぼゼロという年もありました」
毎月の食費は約1万円。パンの耳のほか、魚のアラや大根の葉など格安食材をフルに活用する。ときにはケーキも焼く。自宅で作れば費用は数十円。手間をかけた手作り料理はどれも美味しそうだ。
電気・ガス・水道代はあわせて約9000円。早寝早起きで室内灯をつける時間を減らし、調理では圧力鍋を活用。冷暖房は極力使わず、節約のため風呂には家族3人で一緒に入る。
さらに驚くことに、森川さんも旦那さんも、携帯電話は持っていない。
「あれば便利だろうとは思いますが、家にいることが多く、絶対に必要ではありません。外に出ればお金を使う機会も増えます。それに携帯電話代のために働くというのは、本末転倒な気がするんです」