「経営者の仕事は、跳ぶことにある」と述べたのはかつての松下電工(現パナソニック)を率いた三好俊夫会長である。客観的で論理的な戦略で経営を続けると、足をすくわれるという。その真意とは――。
人は、いつも現実の延長線上に物事を考える習性を持っている。「今、原稿を書いている書斎のドアを開けると、廊下ではなく、もしかしたら崖になっているかもしれない」などと考え出したら、人は一瞬たりとも生きてはいけない。昨日あったように今日があるし、今日あったように明日がある(はず)と考えるのは、生きる知恵でもある。
しかし、組織の経営者がそんなふうに考えていては、その組織は持たない。今、この書斎のドアを開けると想像もできない世界が広がっているかもしれないと、常々気に留めていないといけない。その意味では、厄介な仕事なのだ。
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